Da-iCEが語る「歌の力」、整ったヒット曲を出すベストな環境

-楽曲に対しては、どんな印象を持たれていますか?

花村想太:すみません、楽曲についての質問でしたね。ヒット曲が出れば出るほど、そのあともヒット曲を生み出しやすい環境にはなってくはずなので、リリースからしばらく経ったタイミングで『THE FIRST TAKE』に出させて頂けることもすごく有難かったですし。「CITRUS」のときもそうでしたけど、SNSでバズってから『THE FIRST TAKE』に出れたがゆえに再生回数がさらに伸びたところはあると思うんで、その相乗効果で「スターマイン」もまた流行り直してくれたらより嬉しいなと思っています。

-今回の「スターマイン」もそれこそ「CITRUS」もそうでしたけど、Da-iCEは1曲1曲を時間かけて大切に育てていきますよね。リリースしてから1、2カ月プロモーションして、それ以降は盛り上がりが収束してしくケースって多いと思うんですけど、Da-iCEの場合はしっかりとロングセラーさせていく。

花村想太:そこは一般的な流れと全然違うんですよね。最初は「スターマイン」は全然再生回数が増えなくて、今回の新曲「ダンデライオン」のほうが初速は全然まわっているんですよ。ということは「CITRUS」に続いて「スターマイン」も徐々に売れていったことで、聴いてくれている層が増えていったんだと思うんですよね。その結果、Da-iCEの楽曲全体の再生回数もどんどん増えていっている。なので、僕らの場合はリリースした瞬間にピークがやってくるんじゃなくて、一昔前の徐々に浸透していってヒット曲になっていくような流れに近いのかなって。ここ10年、もしかしたら20年ぐらいそういう売れ方をする曲って少なかったと思うんですけど、口コミで広がっていくような感覚をこの年代で、当時と違う方法とは言え、味わえているのは幸せですね。



大野雄大:分かりやすい売れ方ってあるじゃないですか。テレビに出たら絶対売れるとか、たくさん予算を使って何とか火を付けるような力技で売っていくとか、かつてそういう分かりやすい売り方をしていた時代があって。それ以降、テレビに出れたとしてもなかなか響かず、音楽業界全体が「どうすればいいんだ?」と悩みに悩み続けていた時代が長く続いていたわけじゃないですか。ただ、昨今はYouTubeやTikTokなどネットを通して「スターマイン」もそうですけど、ようやく新たな売れる為のセオリーというか、光がちょっと見えてきているのかなって。すごくポジティヴな将来性を感じる。そうした新しい時代へ到達するまで活動し続けてきたからこそ、今のDa-iCEの状況もあるのかなと思うんですよね。

花村想太:本当にそう思う。今の若い子って例えば、ORANGE RANGEさんの「イケナイ太陽」とか「ロコローション」とか新曲と思ってTikTokなどを通して聴いているらしくて、それによってリバイバルヒットしているんですよね。

-世代的に知らない曲だったから、新曲同然に楽しみながら聴けている。

花村想太:なので、僕たちの過去にリリースした曲たちも手振りで作り直して毎日アップしていけば、ワンチャンどれかヒットするんじゃないかなと思っていて。

-そういう発想も含めて、Da-iCEは1曲1曲を大事にしているなと思うんですよね。それこそライブにおけるパフォーマンスにおいても10年以上あらゆる楽曲をアップデートし続けているわけで。

和田颯:自分もそう思いますね。あと、昔に比べてメンバーが楽曲ひとつひとつのクリエイティヴに入っていくことが本当に増えたので、そういう面からも楽曲自体にはもちろん、歌にもダンスパフォーマンスにも感情が入りやすくなっていると思うんですよ。何かしらメンバーの意思がそこに反映されているので、想い入れも強くなっていく。

-なるほど。そういう転機が功を奏して今があるわけですね。

和田颯:最初の頃はすべてつくってもらっていたんですよ。作詞とかもしていなかったですし。そこから徐々に今の形にシフトしていって。

花村想太:カップリングでは僕らの曲を採用してもらうこともあったんですけど、なかなか表題曲は任せてもらえなくて。

岩岡徹:ライブを軸に活動してきたからこそ、一緒に12年パフォーマンスしてきた中で自ずと「こういう曲が欲しいよね、やりたいよね」というベクトルが同じ方向を向いていて。だからこそ、メンバー主導でクリエイティヴを担えるようになってからは、例えば「ちょっと異端児っぽい曲をやりたいね」とか「これを今やったら面白いね」とか思ったら、それをメンバー全員の共通認識として自分たちで生み出していくことも出来るし。本当に意見が合致しやすい5人でもあるから、全員がその曲のパフォーマンスに気持ちを乗せて表現していくことが出来る。なので、環境としては昔より今のほうがDa-iCEの全体像も捉えやすいし、方向性も明確にしやすいのかなと思いますね。

工藤大輝:僕の肌感ですけど、今のDa-iCEにはちょっと会社的な要素があって。僕らが所属しているエイベックスで例えると、スタッフが何千人もいて、その中に「今、これを売り出したい」って人がいて、それに従う人もいれば、そのカウンターをつくる人もいる。「僕はこういうアーティストが作りたい」「私はこういうアーティストを売っていきたい」そこはそれぞれ違うんですけど、でも「売る」という意思は一致しているわけで、それが最終的に会社の為になる。そういう構図がDa-iCEの中にもあって、今回のアルバム『SCENE』の12曲にも個々のいろんな熱量や想いがあるんですけど、でもその中のどれがヒットしても全員嬉しいよねっていう。そこで揉めたりすることはない。これが長続きする秘訣にもなっていると思いますし、ひいてはヒット曲を出す上でのベストな環境なのかなと。

-そこまでの関係性=環境を構築できているグループはなかなかいないと思いますよ。

花村想太:そういう環境が整った結果、救いの1曲が生まれやすくなっているようにも感じるんですよね。例えば「CITRUS」はコロナ禍で自分たちが思うように活動できなかった時期に生まれたヒット曲ですし、その一発のヒットで終わりそうで「どうしよう? また年末に何も仕事がない状況になってしまうのかな」というタイミングで「スターマイン」がググっと売れてきてくれたし。今年の夏に「スターマイン」がもう1回跳ねてくれたら『紅白歌合戦』も夢じゃないかもしれないし、もしかしたら「ダンデライオン」がそれにうって変わってくれるかもしれないし、それ以外の楽曲のどれもがヒットする可能性を秘めているとも思っているので、今はすごくワクワクしているんですよね。

Rolling Stone Japan 編集部

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