ジョージ・クリントン×.ENDRECHERI.など夢の共演目白押し LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL総括

2日目、14日の「GREEN STAGE」に馬場智章がバンドを率いて登場。馬場がこのステージの前に出演した「THEATRE STAGE」でのPenthouseとのライヴを観終えた多くのリスナーが、そのまま移動してくる。佐瀬悠輔(Tp) 、ermhoi (Vo)、Marty Holoubek (B)、David Bryant (Key)、松下マサナオ(D)という強力メンバーと緑に囲まれたステージで「過去から未来へとつながる」(馬場)楽曲を次々と披露。タイトなリズムと躍動するピアノが印象的な「Voyage」では、コーラスと共に歌うようなサックスで魅了し、「Circus」でのトランペットとの掛け合いに客席が盛り上がる。ermhoiが歌った「Pine Tree」はその浮遊感を感じる声をバンドの音がさらに際立たせる。馬場のサックスがまさに森に響き渡る「Still Remeber」、そして「The Roots of Blood」で極上の“空間”を作り上げていた。

SOIL&"PIMP"SESSIONSは今年はレジデンシャルバンドとして出演し、2日目の「THEATRE STAGE」では、SKY-HI & BMSG POSSE with SOIL&"PIMP"SESSIONSとして熱狂を作り出していた。まずはSOILが「Meiji-Jingumae ‘Harajuku’」を披露。それぞれのソロプレイに客席は引きつけられる。そしてSOILの“社長”が“社長(SKY-HI)”を呼び込み、SKY-HI率いるBMSG POSSEが登場すると大歓声が沸き起こる。ジャズアレンジされた「何様」からセッションがスタート。SKY-HIの切れ味鋭いラップが会場中に襲い掛かる。そこにREIKOのソウルフルで美しいボーカルが加わる。Debra Lawsの「Very Special」を、MANATOとREIKOでカバーし、さらにSOILの楽曲「comrade」をMANATOがカバーした。SOILの演奏と歌が交差し、心地いいグルーヴを生み出す。SKY-HIは「今日は誰が一番楽しむかが勝負」と自身もステージ上でワインを楽しみ、メンバーも自由にステップを踏み楽しんでいる。Aile The Shotaは「DEEP」とSOILの楽曲「ユメマカセ」を披露するなど、昨年「GREEN STAGE」に出演してから一年、進化したその歌を聴かせてくれた。また、ShowMinorSavage - Aile The Shota, MANATO& SOTA from BE:FIRSTとしてはSOILの生演奏でThinkin' bout youを披露するなどこの日だけのセッションは続き、ラストの「オプティミスティック」では打合せなしのフリースタイルセッションで、とことん自由にそしてクールにステージを楽しみ、楽しませてくれた。

この日はBlue Lab Beats featuring 黒田卓也、 西口明宏with 鈴木真海子(chelmico)、ARIWA(ASOUND)、Penthouse with 馬場智章、Kroi、BREIMEN、soraya(OPENING ACT)といった、様々な音楽を奏でる注目アーティスト達が、素晴らしい演奏で、客席を沸かせた。


SKY-HI & BMSG POSSE with SOIL&"PIMP"SESSIONS

2日目のヘッドライナーは、DINNER PARTY FEATURING TERRACE MARTIN, ROBERT GLASPER, KAMASI WASHINGTONという、待ちに待ったステージが実現。客席はすでに総立ちで、大きな歓声と拍手がスタートの合図だ。Jahi Lake のDJプレイの後、まずはゲストボーカルのArin Rayを迎えた「Sleepless Nights」からスタート。Justin Tyson (Dr) 、Burniss Travis(B)という強力リズム隊が生むドープなリズムに、早く客席は酔っている。「Breathe」ではカマシとテラスのWサックスでで、気持ちいいグルーヴが生まれる。「Need U Still」はグラスパーがエネルギッシュなキーボードソロを披露し、徐々に熱を帯び、強固で熱いリズムと絡み、熱狂が生まれる。この日はそれぞれのソロもたっぷりと披露し、レジェンドそれぞれが持つエネルギーが音になって放たれ、客席を熱くさせる。永遠に聴いていたい、そう思わせる演奏の数々だった。ラストは再びArin Rayが参加した「Freeze Tag」。カマシとテラスが曲の印象的なラインを一緒に演奏し。カマシの色気とパワーを感じさせてくれるソロに、客席の熱量が高くなる。まさに夢のような約80分のステージだった。


DINNER PARTY FEATURING TERRACE MARTIN, ROBERT GLASPER, KAMASI WASHINGTON

出演者もリスナーも、自由なスタンスとスタイルで音楽を楽しむ。それがこのフェスの醍醐味だ。開催前にSOILの社長が語っていた「世界の最前線で今のジャズを牽引するバンドと、JAZZの歴史を作ってきたレジェンドと、それらをミックスしてグルーヴを繋ぐDJという、JAZZの進化に欠かせない3つの要素が全て楽しめるのは『LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL』しかありません」という言葉が実感できた2日間だった。

(文:田中久勝)



LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL JAPAN 2023
公式サイト:https://lovesupremefestival.jp

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