クリープハイプが語る、無意識に感じ取った世の中のムード、CDが必要だと思った理由

―そして、EPの1曲目を飾る「凛と」は、TOHO animationの10周年企画「TOHO animationミュージックフィルムズ」の中の、ちな監督による「でたらめな世界のメロドラマ」に書き下ろした曲だそうですが、その映像を元に曲を作ったのでしょうか?

尾崎:いえ。プロットだけ読んで作って、後から曲に映像を付けてもらいました。



―舞台に凛と立って、役を演じるというモチーフは、そのプロットにあったのですか?

尾崎:そうです。結果的には寄り添う形になったのですが、最初はそこまで考えていなくて、たまたまおもしろいと思ったので、演じるというテーマで書いてみました。演じることと、普段自分が曲を作っていることは、感覚としては近いと思ったんです。演じるということについて曲を書いている、そんな自分を演じているような感覚が、曲を書きながらどんどん大きくなって、それをさらに俯瞰で見ているという感覚が、《っていう役》《っていう役》というふうに、どんどん入れ子になっていったところがおもしろいと思います。

―《お前の正体がバレた》という歌詞は、どの段階で出てきたのですか?

尾崎:最後のほうですね。何か強い言葉を言わないといけないと思っていたんです。破裂音でギター・ソロに行かないと、曲が締まらないと悩んでいて、《バレた》という言葉が音としてしっくりきたんです。

―もちろん、「愛のネタバレ」という曲があるから出てきた言葉ですよね?

尾崎:あぁー、そこは意識していなかったです。でも、確かに繋がりますね。

―そうだったんですか!? 当然、意識していたのだとばかり思っていました。というのは、今回のEPは『だからそれは真実』とタイトルでも謳っているように真実や、物事の核心とか、本質とかが明るみに出るというテーマ、あるいはモチーフが共通点として、どの曲にもありますよね?

尾崎:言われてみれば、バレたとか、ネタバレとか、真実とか、不思議ですね。

-意識せずに、そういうものになったのだとしたら、曲を作っている当時、尾崎さんがそんなことを無意識のうちに感じていたのかもしれないですね。

尾崎:確かに、今の世の中に対して、そういう感覚があるのかもしれない。どうでもいいことを含め、いろんなところでいろんなものが暴かれていて、頼んでもいないのにそれを見せられている。そういう世の中のムードを感じたのかなと、今思いました。

―今回のEPもCDを手に入れた人にだけバレることがあるじゃないですか。それはそういうEPのテーマを意識したからこそなんじゃないかと思っていました。

尾崎:なるほど。でも、それもバレるという意識ではなかったです。CDならではの仕掛けとして、CDを買った人のためだけに何かしたいと思ったんです。最初は「真実」も、サブスクで配信せずCDだけにしようと思ったんですけど、やっぱり広く聴いてもらいたいという気持ちもあったので今の形になりました。

Rolling Stone Japan 編集部

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