―さて、「愛のネタバレ」「本当なんてぶっ飛ばしてよ」の次にできたのは?小泉:次にレコーディングしたのは、「朝にキス」でした。
―長谷川さんが作詞・作曲して、歌も歌っている、どこかノスタルジックなポップ・ソングの「朝にキス」は昨年8月、「尾崎世界観の日」というイベントで初披露したそうですね。長谷川:はい。弾き語りをしました。サビのメロディと歌詞は10年前からあったんです。そういう曲の断片がけっこうiPhoneのボイスメモの中に溜まっているので、弾き語りのライブという機会を頂いた時点で、どんどんアウトプットしていこうと思って初披露したんです。私は普段、よく短調の曲を書いていて、それが自分に合っていると思っていたのですが、弾き語りのライブを何度かやってみたところ、お客さんからやってほしいと言われるのは、「ベランダの外」とか、尾崎さんが作詞・作曲して私が歌っている「ATアイリッド」とか、長調の曲ばかりなんです。意外にそういう曲が歓ばれるんだと思って、避けていた長調の曲ではあったのですが、今回形にしてみました。
アリーナツアー 2023「本当なんてぶっ飛ばしてよ」幕張メッセ公演より―長谷川さんの中では、今までなかったタイプの曲という印象があるわけですね?長谷川:そうですね。まるっきりそういう曲を書かなかったわけではないのですが、わざわざこちらから選ばなかったところはあります。
―曲順も絶妙で、「本当なんてぶっ飛ばしてよ」の次に「朝にキス」が来ると、前者の歌詞の2人と後者の歌詞の2人の人間性や関係性の違いのコントラストが際立っておもしろいですね。長谷川:CDをシャッフルで聴くことは少ないと思うので、曲順通り聴いていただいて、そういう楽しみ方をしていただけたら幸いです。もちろん、「本当なんてぶっ飛ばしてよ」ありきで、「朝にキス」を書いたわけではありませんが、リスナーの方がそういうふうに聴いてくれたらおもしろいと思います。