ジャマイカ新世代レゲエ・アーティストが語るバックグラウンド 3月にツアー8公演で来日

リラ・アイケ

今レゲエ・ミュージックの中で起きている新しい動き。その中で特筆すべきなのが、リラ・アイケの存在だ。レゲエの本場ジャマイカでは、2010年代後半からレゲエ・リバイバルのムーブメントが盛り上がっているが、そのムーブメントをリードする一人、Protojeが主宰するIn.Digg.Nation Collectiveの一員として楽曲を発表。コロナ禍の2020年にはEP『The ExPerience』で、アメリカのRCAよりインターナショナル・デビューを飾り、瞬く間にレゲエ・ファンのみならず幅広い音楽ファンを魅了することとなった。

リラの音楽は、オーセンティックなレゲエをベースにしながらも、ヒップホップ、R&B、ソウル、ダンスホールの要素もあって、懐かしさと最先端が同居するタイムレスな音楽になっている。リリックには様々なエモーションやメッセージが込められているのだが、何よりも極上のシルキー・ボイスで歌われる美しい歌によって、ちょっとレベルの違う音楽体験を得ることができる。そのリラが3月には全8公演のジャパン・ツアーで来日する。来日直前となるリラのインタビューを紹介したい。

―もうすぐ来日ツアーですが、ライブはどんな感じになりますか?

リラ・アイケ 最近1WULDというサウンドを始めたんだけど、日本人はレゲエのカルチャーもサウンドシステムも大好きだっていうのは聞いてるから、私も自分のサウンドシステムでライブをやりたいと思ってる。日本に行くのは初めてだし、今までずっと行きたかったところだから、観光もしたいし、クールなところに行ってヴァイブスも感じたい。

―2020年にリリースしたEP『The ExPerience』は、リラ・アイケの存在を世界中に知らしめた名盤となりました。EPをリリースした後は、どのような変化がありましたか?

リラ・アイケ 『The ExPerience』はコロナ禍にリリースされたから、ツアーもできなかったし、グローバルなプロモーションも思ったほどできなかった。正直ここまでこのEPが成功するとは思ってなかったんだよね。それに、いろんな人たちから、コロナ禍であのEPを聴いてどれだけ救われたかっていう話もたくさんされた。それでコロナ禍が収束して、ツアーができるようになると、みんなよく曲を聴いてくれてたこともあって、ライブをやるとスゴいことになってて。私にとって一番大切な経験は、私の音楽をみんなとシェアすることで、曲をリリースした時は誰もが入り込めなくても、ステージでライブをすればそこにいる誰もが入り込める。今はやっと自分の音楽をライブでみんなとシェアできる時が来たっていう感じ。それにコロナ禍が終わって、みんな楽しみたくてしょうがなくなってる感じもするんだ。



―今実際にライブをやってみて、手応えはどうですか?

リラ・アイケ ライブは最高! 私もみんなも3年間待ったわけだから。みんなが一つになれるし、エネルギーもスゴいし、待ち望まれてたんだなっていうのもスゴくわかる。2月終わりにジャマイカでProtoje主催のLost in Time Festivalがあったんだけど、スゴく素敵なショーになった。私のライブの時もみんなが一緒になって歌ってくれたから、素晴らしい経験になったね。

―Lost in Time Festivalのライブ映像を観ましたが、リラは完全に会場をロックしましたね。

リラ・アイケ この日は全体的に見ても、素晴らしいショーになったと思う。多くのアーティストが一堂に介して、それをみんながジャマイカで観れるという意味でも、久しぶりのショーになったし。それに私の家族にとっては、その日が初めて観る私のライブになったんだよね。

―そうなんですね。そう言えば、元々リラが音楽を好きになったきっかけは、ママが家で聴いていたレゲエやR&Bだったんですよね。

リラ・アイケ ママは大の音楽好きだから、そのおかげで私の音楽の世界はスゴく広がった。ママはよくソウル・ミュージック、R&B、ヒップホップ、ポップを聴いてたし、ゴスペル・ミュージックも聴いてた。もちろんレゲエもダンスホールも聴いてた。いつもママに「この曲は誰が歌ってるの?」って質問してたし、自分でもいろいろ調べてた。初めてガーネット・シルクを聴いた時も、初めてローリン・ヒルを聴いた時もそう。ガーネット・シルクとローリン・ヒルは私が一番大好きなアーティストだから。

―その日のステージ衣装もカッコ良かったですね。

リラ・アイケ 私は衣装も重要だと思ってるから。ライブというのは総合的な体験だし、私がみんなとシェアしたい経験は、音楽だけでなく、ビジュアルも含めたすべてだから。だから衣装も大好きだし、衣装デザイナーのような、音楽以外のクリエイターとコラボするのも大好きだから。

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