コロナ給付金詐欺、美人不動産ブローカーが起訴された理由 米

2月2日、レンドンは連邦下位裁判所に出廷した。起訴内容は電信詐欺罪7件、資金洗浄罪2件、加重身分詐称罪1件だった。この中でももっとも重い電信詐欺罪は、最長で禁固20年が言い渡される可能性がある。レンドンは保釈金15万ドルの10%を支払って保釈されたが、判事が署名した裁判所命令を見ると、保釈金を支払ったのは婚約者のエリアス・レイズだった。弁護人を務めるロバート・マンデル氏によれば、レンドンは無罪を主張するつもりだという。

政府は8日、20件の証拠を裁判所に提出。そのうちのひとつは、Daniela Rendon PAという会社の2020年の給与支払いで、11人の従業員に12万1480ドルを支払っていたとある。そのうち9000ドルはレンドン本人に、1万3500ドルはRendon Holdings名義の従業員に、3万ドルはエリアス・レイズに支払われていた。他には、新型コロナ陰性を証明する2021年のバハマの渡航ビザ、プライベート機に搭乗する姿を収めたソーシャルメディアの投稿のスクリーンショット、レイズが所有するデラウェア州の企業Reyes Aviation社が申請した給与保護プログラム(PPP)融資の書類など。またBraman Motors社が2021年に発行したベントレー・ベンテイガのリース証書もある。Braman社のwebサイトによると、レイズは同社の財務部帳を務めており、証書の署名もレイズのものだった。レイズにコメントを求めたが、返答はなかった。

1月26日付の大陪審起訴状には、レンドンが2020年から2022年にかけて「意図的に、かつ詐欺目的で、内容が事実とは異なる虚偽の請求、申請、証明をして、金や資産を手に入れる策略を立てた」とある。大陪審によると、レンドンと共犯者(起訴状には氏名の記載なし)はフロリダ州の有限会社Rendon PAとワイオミングに登記されているRendon Holdingsの2社名義でPPPと経済損害救済金を申請した。申請手続きの一環で、レンドンは偽造した国税庁の書類を提出した他、従業員数、総収入、月額給与、会社の販売商品の原価をごまかしたとみられる。起訴状によれば、その後彼女は給与サービスアプリのADPに登録し、自分や友人、家族に給与を支払っていたという。

マンデル氏はレンドンの企業や政府の提出した証拠について、情報の入手や検証がまだだとしてコメントを控えた。「一般論を申し上げますと、こうです」と同氏は述べた。「政府が被告に有利な情報や事実を提供するケースにはお目にかかったことがありません。このような早い段階ではなおさらです。それにお話にあった証拠ですが、陪審員が合理的疑いの域を越えてレンドンさんを有罪だと判断する前に、政府が証明しなければならない事柄と関連性があるとは限りません」。マンデル氏はレンドンが司法省から目をつけられたと考えている。「私には、レンドンさんがいわゆる“有名人”であるがゆえに、政府が見せしめにしようと躍起になっている見えます」と同氏。「ですが事実は事実です。水に流すわけにはいきません」。

Akiko Kato

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