ブライアン・アダムスが語る80年代の記憶、絶好調の今「日本は僕にとって特別な国」

 
日本での思い出、絶好調の近作を振り返る

―これまでの日本公演で特に想い出深いライブは?

ブライアン:いくつかあるけど、やはり最初の頃かな。日本がどういう国かもわからなかった頃……。さっき話をしたヤマハのフェスティバルの後に、初めてコンサートをやったときのこと(1983年)はすごく印象に残っている。あの当時の日本は今とはだいぶ違っていたよ。だって40年前だぜ。コンサートに対する捉え方とかも今とは随分と違っていた。でも日本らしいところは変わってないけどね。だからアーティストは皆、日本でライブをやるのが好きなんだと思う。僕もこのアルバムのツアーでぜひ日本に戻りたいと思った。今こそ、日本に戻るのにいいタイミングだと思えたから。

当然ながら、武道館でのショーはいつだって良かった。それと、大晦日に東京ドームでヒューイ・ルイスなんかとやったのを覚えているよ(1989年)。あれは思い出深いね。大阪でもいいギグをやったな。あまりにいっぱいありすぎて選べない。


2000年の武道館公演より

―来日中に観光をしたことはありますか?

ブライアン:出かけることは可能だけど、日本にいるのをみんな知ってるから、ホテルを出た瞬間にバレてしまうし、電車に乗ろうとすれば付いてこられて、実際は難しいね。観光客として行けば可能なのかもしれないけど。

君は知ってるかもしれないけど、僕の父は日本に住んでいたので、父に会いに行ったときはツアーでは見られない日本を見ることができた。すごくパーソナルな話をするね。その頃、僕は父と9年くらい会ってなくて、しばらく音信不通になっていた。それで行方を探したところ、東京の大使館に勤務していることがわかったんだ。父に電話をしたら「どこにいるんだ?」と驚かれて、「実はとあるフェスティバルに出るので、日本に行くんだよ」と話したんだ。だからフェスティバル以上に、父と再会できたことが、僕には大きな意味を持っていた。そんなこともあって、日本は僕にとってとても特別な国なんだ。フェスティバルには父も招待したよ。

―いい話をありがとうございます! 最近のあなたの作品についても話しましょう。最新作『So Happy It Hurts』まで何度も組んできたマット・ラングは、他のプロデューサーやソングライターとはどんなところが違うのでしょうか?

ブライアン:それは秘密だ……。

―(笑)誰に聞いてもマットのことを詳しく教えてくれないんですよ。どんな人なんですか?

ブライアン:素晴らしい人物だよ。曲を作ることに賭けて……クラフトマンシップというのかな……彼以上の人はいないよ。90年代に彼と仕事をした経験を、僕とキース・スコット(ギタリスト)は「ロックの大学に通ったようなもの」と言っているんだ。マットと仕事をした後は、それを上回るゴールはないように思えるくらいだった。あらゆる面で自分に達成できるベストを尽くす、という意味でね。




―個人的に気に入っているアルバムが、ELOのジェフ・リンがプロデュースで全面参加した『Get Up』(2015年)で、あの組み合わせはうれしい驚きでした。

ブライアン:(日本語で)ドウモアリガト。あれも素晴らしい経験だったよ。僕が思う、ロック界の2大プロデューサーと仕事ができた自分はとてもラッキーだと思う。あのアルバムは、カバー曲集『Tracks Of My Years』(2014年)と並行して制作していたので、昼間はそちらを作り、夜はジェフとやるという日々でね。対照的というくらいにまったく違っていて、面白かったよ。ジェフと曲を作り上げるのは、気分を一新されるような感覚だった。ジェフも曲のストラクチャーを構築していくものすごい能力の持ち主だ。彼にジムと作ったデモを送ると「あるものは全部送ってくれ」と言うので、セッションを全部送り直した。すると数日後「来れるならスタジオに来て、聴いてみて」と言うんで行ったんだ。聴いて驚いたよ。僕のデモから声を一旦取り出して、まったく新しく構築し直してしまうんだ。毎回、それには驚かされた。



―『Shine A Light』(2019年)で、タイトル曲をエド・シーランと共作したときのことも教えて頂けますか?

ブライアン: アイルランドにいるとき、エドのギグを観に行って、そこでメアドを教え合ったんだ。「Shine A Light」のコーラスだけ先にあったんで、エドに曲を書く気はあるかなと思って連絡したら、「いいよ」と返ってきて。彼にコーラス部分を送ったら、数日後にはヴァースが返ってきた。「Shine A Light」はそうやって、全てメールでやりとりしてできたのさ。



―2020年にBBCのチャリティ企画で、オールスターでオアシスの「Stop Crying Your Heart Out」を録音したときに、あなたも参加しましたよね。ソングライターとしては、オアシスの曲をどう評価していますか?

ブライアン:(素っ気なく)すごくいいね。

―割と好きなタイプの音楽ですか?

ブライアン:曲がかかったら、間違いなく耳を傾けるタイプだね。すごくいいバンドだ。バンド、だったかな。



―最近は、どんな音楽を好んで聴いていますか?

ブライアン:今は、これから出るライブ・アルバムと…ニュー・アルバムも完成させたところなので……その音しか聴いていない。ロイヤル・アルバート・ホールの映像を今まとめているところさ。映像作品、ライブ・アルバムと、ニュー・アルバムが1枚出る予定だ。ライブ・アルバムはボックスセットとして今年中に、ニュー・アルバムは来年の2月くらいに出したい。いい感じに仕上がっているのでね。

―そのアルバムについて今言えることがあれば教えてください。

ブライアン:『So Happy It Hurts』の延長線上と言っていいかもしれない。同じチームで作っているので。でもテーマは『So Happy It Hurts』とは違っている。それだけは言えるね。でも、きっと気に入ってもらえるんじゃないかな。夏の前、もしくは終わり頃に、アルバムからの新曲がドキュメンタリーの一環としてリリースされる。ホームレスの問題を扱った曲だ。トピックとしては重たいテーマだけど、とても美しい曲だよ。


今年1月31日放送の米TV番組『The Tonight Show』に出演、「So Happy It Hurts」をパフォーマンス




ブライアン・アダムス
SO HAPPY IT HURTS JAPAN TOUR 2023

3月4日(土) 仙台サンプラザホール 17:15開場/18:00開演
料金: S席 ¥15,000 A席 ¥14,000 (税込)

3月6日(月) 大阪城ホール 18:00開場/19:00開演
料金: S席 ¥15,000 A席 ¥14,000(税込)

3月7日(火) 日本武道館 18:00開場/19:00開演
料金: S席 ¥15,000 A席 ¥14,000(税込)

3月8日(水) Zepp Nagoya 18:00開場/19:00開演
料金: 1Fスタンディング ¥15,000/2F指定席 ¥20,000(税込)※ドリンク代別途必要

公演ページ:https://udo.jp/concert/BryanAdams2023


Translated by Kyoko Maruyama

 
 
 
 

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