バッド・レリジョンが語る、PUNKSPRINGの思い出、オープンマインドでいることの大切さ

バッド・レリジョンが始まる前のバックグラウンド

―「Punk Pardox」は典型的なロック・アーティストの自伝という感じではないですよね。自分の人生について書かれているし、バンドを始める前の話もあります。驚いたことに、グレッグは元々アカデミックなバックグラウンドで育てられたんですよね。そういう背景はグレッグの音楽やリリックのユニークさにも現れているのかなと思いました。

グレッグ ありがとう。僕がこの本で書きたかったのは、メインのキャラクターが人生を通してどのように変わっていくのかということだった。僕の自伝ではあるんだけど、僕自身をメインのキャラクターとして書いている。このキャラクターがどのようにしてアーティストになっていくのか。それを理解するためには、そのキャラクターのバックグラウンドも伝えなきゃいけない。僕は生まれた時から、大学というものがバックグラウンドにあってね。僕は大学のキャンパスの中で生まれたんだよ(笑)。バッド・レリジョンが始まる前のバックグラウンドを知れば、ファンは何故今バッド・レリジョンはこういうバンドなのかというのがより深く理解できると思うんだ。

―自分の過去を振り返って本を書くプロセスはどのようなものでした?

グレッグ 本を書いたのはコロナ禍のパンデミックの最中だった。バンドのツアーもなかったから、本の執筆には集中できたよ。自分の人生を物語にして書くのはけっこう大変だったね。人生というものは複雑だし、物語はたくさんある。僕の人生にはいろいろな要素があるから複雑なんだ。一番大変だったのは、どの物語が読者にとって面白いのかという判断だった。だからとにかくいろいろな物語を入れてみたね。一つの流れを作って、そこに物語をいろいろ入れて、読者が付いてこれるようにしたよ。本を読んでもらえればわかるけど、僕の人生は大学に始まり、今もなお大学にいるんだ。バッド・レリジョンに関して言うと、このバンドがブレイクして、自分の人生のメインになるなんてことは、僕自身が予想できなかったことなんだ。

―本の執筆中に再発見したもの、自身にとって学びとなったことはありますか?

グレッグ 良い質問だね。というのも、僕が目標としているのは、自分自身について学びを続けることだからだ。そしてこれは今後も続くプロセスでもある。今回の執筆では、書く技術というよりも、自分が何者かについて書くことがわかったように思う。今の僕は自分に自信があるし、自分であることに満足もしている。ただ、書くことに関してはもっと上達していきたいと思うね。

―そもそもシンガーになりたいと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

グレッグ それは誰にもわからないよ。そのことに関しては本の中で分析しているんだ。元はと言うと、小さな子供の頃、僕は母親の気を引きかった(笑)。良い母親だったけど、僕はもっと多くを求めていたんだろうね。シンガーになったのは、母親の気を引きかったからだと思う(笑)。

―バッド・レリジョンが成功した時、お母さんから何か言われましたか?

グレッグ 母はあまりそういう話はしないんだ。「Punk Pardox」にもバッド・レリジョンの自伝本の「Do What You Want」にも書かれているんだけど、母はバンドの最大のサポーターだったんだよ。母はガレージをバンドの練習のために貸してくれたし、バンドの大ファンでいてくれた。ずっとサポートしてくれたんだよ。


グレッグ・グラフィン(Photo by Per Schorn)

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