INIアリーナライブツアー完遂、11人の「才能」が生み出したケミストリーを体感

自分と向き合い続けたからこその進化

“TO FIND REAL ME I”のメッセージが表示されるVCRを挟み、ユニット曲を中心とした『I』のセクションへ。木村・後藤威尊・松田が「DANCE#1」のダンスパフォーマンスで気高い色気を香らせれば、池﨑理人・田島将吾・西洸人は「How are you」でビートを捕らえた心地よいフロウを披露。尾崎・佐野・許・髙塚・藤牧京介は、『INI WORKSPACE』とは曲を変え「Mirror」で美しいハーモニーを響かせる。


©LAPONE Entertainment


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なんとも粋だったのは、この流れに「Runaway」を乗せたことだ。INIの2nd EP『I』は“自分”を表すだけでなく、僕が“愛”するものという意味もこめられている。わざわざ追加公演のために1曲仕上げたこと、そしてこのタイミングに差しこんだということは、一緒に歩みを進めてきたMINI(INIのファン呼称)への愛情表現に他ならないだろう。バックステージには、MINIからの愛がこめられた11文字が映し出され、椅子に腰をかけて歌うメンバーは愛おしそうにメッセージを眺めていた。


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“UNKNOWN AREA M”と打ち出すVCRを経て、いよいよライブは終盤である『M』のターンだ。「Password」で繰り広げられた圧巻のダンスブレイクは、ここからさらに会場がヒートアップしていくと予期させるには十分だ。“119”のハンドサインを丁寧に追っていく「CALL 119」のカメラワークも印象的で、ダンスや歌といったパフォーマンスだけでなく演出にもこだわったライブエンターテインメントを作り上げる意志を感じさせる。それだけに飽き足らず、後藤が振り付けに合わせてジャケットをずらし攻撃的な色気を漂わせたり、藤牧が荒々しい視線を投げかけたりと個々の解釈で楽曲の世界観を表現していた。「Shooting Star」では“飛び上がる”のフレーズに合わせて、メンバー全員が美しくジャンプ。微細なニュアンスを揃え、ダイナミックさのなかに繊細さが光るステージングを成し遂げた。

クルクルと変わるビートを器用に乗りこなしていく「Dramatic」、炎を背負ってのシンクロダンスがダイナミックな「BAD BOYZ」と進み、いよいよライブはラストスパート。結びの曲となったのは、『Awakening』のタイトルソングである「SPECTRA」だ。田島の妖しげな空気で惹きつけ、西から池﨑へとパスが回る出だしの時点で、現在の最高を魅せるという気概を感じさせる。様々な色がとめどなく流れ出てくる映像は、自分と向き合い続けた末に覚醒し、新たな才能を溢れさせ始めた11人を想起。『A』から始まったINIが、この1年をかけて“新人アーティスト”の域から脱し、次のフェーズに進む覚醒を迎えたのだとライブを通して誇示したのだった。

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