BTS・RM×ファレル・ウィリアムス 赤裸々に語り合ったスーパースター対談

ソロ活動について、ファレルの助言

―BTSは現在、Sugaが言うところの「オフシーズン」(活動休止という正確でない解釈が広まってしまった)にあり、各自がソロ活動に専念しています。RM、先ほどの発言でも少し触れていたと思うのですが、あなたはBTSが方向性を見失いつつあると感じているのでしょうか?

ファレル:俺も目的意識が持てずに、すごく悩んでいた時期があったよ。

RM:それはいつのことですか?

ファレル:2006年頃かな、『In My Mind』をリリースした時だよ。あのアルバムは俺の思ったような結果をもたらさなかった。カルチャーにはインパクトを与えたけど、俺自身のエゴを満たしてくれることはなかった。当時の自分にできるはずだったことを成し遂げられなくて、ひどく落胆したんだ。それがきっかけで、俺は表層的なものじゃない根源的な目的意識と、どこまでもピュアなDNAを持つ物事について考えるようになった。それはエゴイスティックなものではなくて、人々が共感でき、喜びをもたらすものじゃないといけなかった。まぁ俺は一貫して女の子のことが大好きだから、それが常に自分の一部であることは確かだね(笑)。

だから君の気持ちはわかるつもりだよ。理由が何であれ、キャリアのある時点でそういう問題に直面した時の気持ちをね。君の言ったことと俺自身の経験を踏まえた上での推測だけど、君らは「自分は何をしているのか? 自分は何者なのか? かつて誇っていた自分は今も存在しているのか?」と自問しているんじゃないのかい?

RM:その通りです。

ファレル:君自身が考える自分と、君にとっての意義と意図も、理想とする自分の定義に影響を与える。君はどう思っているんだい? 自分はその過程のどこにいると思う? というのも、君は今ソロアルバムを作っていると聞いてるから。

RM:そうです、アルバムは9割方完成しています。BTSがアクティブだった頃にもミックステープをいくつか出したんですが、あれは実験的なものに過ぎなかったので、今回の作品が自分の正式なソロアルバムだと位置付けています。でも実際には、チームとしてデビューアルバムを発表した時から、ほぼ10年経っていて。K-POPの世界はバンドやグループが基本なんです。既に触れましたが、僕はラッパーであり詩人としてキャリアをスタートさせました。実のところ、それが引っかかっているんです。というのは、K-POPというのはアメリカのポップスはもちろん、ビジュアルや韓国の文化、ソーシャルメディア等を飲み込んだ総合的なものだから。すごく濃密で複雑で、当然長所もあれば短所もあるんです。

10年活動を続けてきて、決してそれが目的ではなかったけれど、僕らは社会的責任を負う立場になり、それを引き受けてきました。K-POPのバンドでありながら、国連本部に招かれたり大統領と面会したりする中で、僕は疑問に感じ始めたんです。「僕は一体何なんだろう、外交官にでもなったつもりか?」って。

ファレル:うん、わかるよ。


PHOTOGRAPH BY MASON POOLE FOR ROLLING STONE. JACKET BY MIU MIU



RM:昔の僕は単なるラッパーで、無名のリリシストに過ぎなかった。それだけに、チームとしてやってきたこの10年間は本当に濃かった。ほぼすべての取材に対して、僕はチームの代表として応じてきました。それが自分の役割だと思っていたので。でも何ていうか……こう思ったんです。「しばらくの間、この環境から離れたい。一旦距離を置いて、先のことはそれから考える」。そうすることで、自分が冷静になっていくのがわかりました。それで、自分のソロ(アルバム)に集中できるようになったんです。

最近、あなたの曲を初めて聴いた時の感覚やヴァイブス、そして自分がなぜ活動を始めたのか、なぜ音楽を選んだのか、そういうことについてよく考えていて。僕は14歳の時に音楽をやり始めて、今は28歳です。つまり、まだプロセスの途中なんです。すごく複雑で困惑しているし、未来への不安も感じていて。だからこそ、K-POPとは違うシーンだけど、N.E.R.D.やネプチューンズからソロ活動まで、様々なプロジェクトを並行して進めてきたあなたの考えを聞かせてほしいんです。何かアドバイスはありますか?

ファレル:ネプチューンズやN.E.R.D.のメンバーとしての活動もソロ活動も、俺にとっては全部不可欠だったんだ。ある1つのことに没頭したら、一旦しばらく距離を置く。その間に別のことに挑戦し、それもある段階で一度ストップさせる。そうすることで、自分のいろんな側面を試すことができるんだ。だから君の気持ちはわかるし、新たな挑戦が君にとってプラスになると信じている。ソロ活動を経た君が再びグループの一員になる時、その経験は必ず……。

RM:チームに還元される。

ファレル:そう、すごく新鮮な気持ちで再スタートできるはずだ。君のソロアルバムにはどういうプロデューサーが参加しているの?

RM:レーベルの専属のプロデューサーたちと作ったものもあれば、外部のプロデューサーを迎えたものもあったりと、柔軟なスタンスなんです。あなたはチャドと共作することもあれば、単独で手がける場合もあるし、大変に違いないと推測しているのですが。

ファレル:彫刻作品を作っている時のミケランジェロのような感じかもしれない。憶測でしかないけど、彼は全体像を意識しすぎず、ただ無心で岩を削り続けていたんじゃないかと思うんだ。俺のアプローチも同じなんだよ。これでいいと思える時点に達するまで、ひたすら音を重ねたり削ったりするわけだから。でも自分一人で完成させることができないと思ったら、その時は誰かにヘルプを求めるようにしている。昔はエゴが邪魔をすることもあったけど、今はエゴよりも大切にすべきものを理解しているからね。

RM:それは何ですか?

ファレル:楽曲そのものだよ。少しでも曲が良くなるなら、できることは全部やる。それが今の俺の考え方なんだ。「これクールじゃん、受けそうだ」みたいなスタンスじゃなくてね。ただ受けるだけじゃ不十分なんだよ。立ちはだかる壁を破壊し、あらゆる人を熱狂させるようなものじゃないと、俺はもう満足できないんだ。一部の人々じゃなく、誰しもが興奮するようなものを作りたい。夜のニュース番組で取り上げられるようなね。まさにBlock on Fireさ。

RM:あらゆる人を巻き込んでヒートアップするBlock on Fire、B.O.F.か。クールなブランド名にもなりそうですね。

Translated by Masaaki Yoshida

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