TERIYAKI BOYZⓇが語る、復活ライブの舞台裏、世界の「TERIYAKI」ブランド

88risingへの共感

ー88risingやHEAD INTHE CLOUDSにも共感したところはありますか? リッチ・ブライアンだったり、ほかのアーティスト、それこそショーン(・ミヤシロ/88risingの創設者)だったり、スタッフから受けた印象お聞かせください。

RYO-Z :俺、共演したリッチ・プライアンも最近知ったぐらい全然勉強できてなくて、YouTube見て聴いたりするようになったんですけど、ラップうめえなあ、スゲーいいなー、スキル高いな。それを一緒のトラックでセッションするとすごい楽しい。それから、こういうのがかっこいいよねっていう感性としてもなんか繋がってるように感じる。だからこそ彼も「TOKYO DRIFT」かましたんだろうし。それがなんか良かったなって。で、そんな彼と時を超えて、HEAD IN THE CLOUDSのメインのフィナーレで一緒になったっていう。

ーすばらしいですね。

RYO-Z:ちょっと悔やまれるのはたった8小節の俺のラップの半分ぐらい間違いっていう、それだけ(笑) 。

ILMARI:会場でTERIYAKIのTシャツ途中から着てたんですけど、ちょっとトイレ行ったりすると、いろんな人に英語で話しかけられて。なんかあれ着てんの嫌だなって(笑)。TERIYAKI BOYZ?みたいな感じで言ってくれるのは嬉しい。ただ、トイレ行きづらい。(笑)。プルコギとか取り行きたいなあとか思って(笑) 。88って、アジアの人たちが中心じゃないですか? なんかそこもちょっと仲間感出る。多分普通の音楽フェスだったら、あんまり人種のこというのもあれだけど、歩いててももっといろんな人いそうだけど、今回違うところに来た感じがしないっていうか……アメリカ人かもしれないけど、アジア系の人たちの仲間感はすごいなあと。ショーンさんとか、そういう人たちがずっとそういうコミュニティを作ってたんですよね。こっちはね、それがすごいなと思って。うん。たぶん「TOKYO DRIFT」出した頃にはこういう88とかみたいなものはなかった。

VERBAL:あのリッチ・ブライアンももともとは11、12歳ぐらいの時YouTubeとかVineで、なんかコメディみたいなチャンネルやってて、なんか面白いじゃんと世の中的になっていて。その当時ショーン・ミヤシロも確かレーベルのA&R辞めて、88Rising始めた時期で、そんな時にブライアンにラップしてみたら? って言ったらしい。Rich Chigga(YouTube時代のリッチ・ブライアンの芸名)は、もう完全にちょっとスレスレな感じの名前で。ギャグで超短い短パンになんかウエストポーチしてダサい格好でラップしてて。でもそれがドカーンといって、しかもラップがまあ、かっこいいじゃんと流行っちゃって。じゃあもっとラップしようかってなっていくうちに、88risingてミュージックビデオ制作する会社みたいなのが、一人歩きして噂が広まって。当時Joji君も元々お笑いみたいなのをYouTubeにあげて“ピンクガイ”っていう下ネタばっかり言うキャラクターとかやってたんだよね。彼は大阪のインターナショナルスクール行ってて。めちゃめちゃふざけてるインターノリのギャグ性がある。

ILMARI:TERIYAKIと重なるしょうもないセンス

VERBAL:ラップの曲の内容もやっぱり人種によって文脈があって、黒人文化、アフリカ系アメリカ人の人たちはやっぱりその歴史的に強くないと、という側面から見せるのに対して、アジア系アメリカ人はちょっと一回恐縮するようなところがあるよね。それがリリックにも出てて、Joji君のヒット曲でも、いや、俺よりあいつといる方がいいよ、お似合いだよ、とか歌ってて、ウチらに近い。

ILAMRI:似てるね! うちらもいきなり「HeartBreaker」で出たのと同じようだね。

VERBAL:そういうところがあるから、ショーンも、その全体的な空気感としてシンパシーを感じてくれた部分はあるのかもしれないです。

ーすごいわかります。宇多田さんがアジア系のR&Bのレジェンドだったように、TERIYAKIは、88が今やってるラップをすでにやっている先輩みたいな、ニュアンスもあるのかなって思いました。

ILMARI:腑に落ちる。もうなんかすごいあの居心地の良さは? たぶん、そういうセンスっていうかなんかだろうね。
 
VERBAL:親切な感じもそうですね。コロナ明けに色々なフェス行ってますけど、オペレーションが適当なイベントも多々あります。なんならアーティストの楽屋の前まで行けるチケット売ってたりして、この人大丈夫?っていう人いたり(笑)。なんかもうキャピタリズムの象徴みたいな感じなんですけど。でも今回は楽屋村もピースでしたね。優しい感じ。

ー会場全体もピースでした。今回感じたことを受けて、今後どうされていくっていうか、こうなったら楽しそうだなあって思ったこととかありますか?

WISE:リッチ・ブライアンと一緒に曲やりたいですね。
 
ILMARI:うん。まさかまたTERIYAKIやると思ってないところもあったし(笑)、ちょっとこれからのことっていうとね、どうなるんだろうと思うけど。 こういう経験、今回出来たこともすごい良かったし、いろんなアーティスト見てたらみんな良くて。例えば、唯一日本から来てた、新しい学校のリーダーズ。ちゃんと初めてライブ見たけど、すごい良かったから、新しい学校のリーダーズとTERIYAKIで曲作るのは、やったら面白いんじゃないかなみたいのは思いました。来年とか再来年とかまたずっと88のフェスが続いていくんだったら、あそこに出たら盛り上がるだろうな、面白いだろうな、とか、そういうのは考えちゃいますね。

RYO-G:まず逆立ちから練習してね。
 
ILMARI:ええ! ダンスを? 俺最後あの肩車で出てくるの? 無理だよ!(笑) 。

WISE:昨日パーティでかかってた「CHICKEN TERIYAKI」のROSALIAとか一緒にやりたいな。

ーラテン系スペイン語圏のアーティストともコラボしてほしいですね。向こうで日本流行っているんで。世界のいろんな人たちとコラボしてほしいですし、日本の音楽がどんどん世界に出ていく道を切り開く活動してもらいたいです。この瞬間にもSpotifyとかYouTubeでTERIYAKIの再生数は伸び続けるわけじゃないですか。でまたワイルド・スピードのシリーズも完結に向けて盛り上がっていく、そこの中で面白いことやってもらうのを期待してます。あと、NIGO®さんとの絡みも見たいです。

RYO-G:『I Know NIGO!』がイギリスやアメリカのチャートに入ってるNIGO®さん(笑)

VERBAL:NIGO®さんはプロデューサーでデザイナー、DJもされてて、我々が暴れてやりすぎたらリミッターかけてくれる(笑)。 今回を機にアイディア出しをどんどんしていけたらいいよね。今回やらなかったあのネタは多分リミッターかけられるかな?(笑) 。

RYO-Z:まだね。まだちょっと早かったからね。

VERBAL:いくらFuturistic TeennagerのHUMAN MADEと言ってもfutureすぎるって言われるとかね(笑)。 でも、このウチらのギャグセンを絶対面白がってくれる。で、口出しはしない。それで『I Know NIGO!』に出ているようなプッシャ・Tとか絡めたりしてね(笑)とにかく絶対うまく調理してくれる。

ILMARI:僕らみたいなキャラの若い子いたらいいなってちょっと今話しながら思ったんだけど。凄い上手くてかっこ良い子めちゃくちゃいる。さっきも話したリッチ・ブライアンとかJojiさんとかみたいな何かおもしろいことやってる子たち、どっかいっぱい居るはずなんで、その人たちちょっと見つけてみたいなと。そのまま88risingに入ってもおかしくないような。新しい学校のリーダーズがそんな感じじゃないですか? 制服着てあのパフォーマンス、こっちですごいウケますよね。多分、そういう子たちがまだまだいると思う。

ー期待してます!


左から、著者の脇田敬、RYO-Z、ILMARI、WISE、VERBAL(Photo by NAGARE)

アジア系レーベル/メディアとして前人未到の活躍を続ける88risingのフェス『HEAD IN THE CLOUDS』にTERIYAKI BOYZⓇが出演すると聞き、参加させて頂き、インタビュー、フェスの取材もさせて頂いた。まず、「TOKYO DRIFT」という日本音楽史上、稀な世界で愛されたヒット曲についてのストーリー。『ワイルド・スピード』シリーズがモンスターシリーズ化したこと、YouTubeやサブスクの時代、UGC時代と見事に重なったことは会場で見、接したアメリカの若者たちから、実感として理解できた。


そして、ショーン・ミヤシロやリッチ・ブライアンなど88risingメンバーやアメリカ~アジアの音楽シーンの最前線に立つクリエイターやビジネスマンたちはどう考えているのか、想像してみた。YouTubeやInstagram、SpotifyからTikTok、更にその先のWEB3、メタバース、NFTの時代へ。TERIYAKI BOYZⓇやNIGO®が成し遂げた、時代を先取ったHIP HOPとファッション、ユーモアが織りなすカルチャーが、次の時代を見据える彼らに今最も新しく刺激的に見えているのではないだろうか。

今やLVMHグループからオファーを受け世界のファッション界に名を轟かす存在となったNIGO®が、超豪華メンツでリリースしたラップ・アルバム『I know NIGO』のリリース。音楽×ファッションの新しい時代、アフター・コロナ、WEB3の時代に何を起こしていくのか。そして、「日本発」を背負いそれを体現できるTERIYAKIの4人、ILMARI、RYO-Z、VERBAL、WISE。この4人が生み出すラップ、ユーモア、センス。これこそが、ファレルやカニエ、ダフトパンクら錚々たる世界の音楽シーンの中心メンバーの目と耳、心に叶う稀有なチームであること。直に体験し、感じることが出来た。

<著者プロフィール>

脇田敬 Wakita Takashi
音楽プロデューサー、マネージャー。大阪音楽大学ミュージックビジネス専攻教授。経済産業省監修デジタルコンテンツ白書編集委員。ニューミドルマン・コミュニティ、音楽デジタルマーケティング講座運営。

著書「ミュージシャンが知っておくべきマネジメントの実務」(リットーミュージック)
https://lit.link/wakita

物袋正雄 Motte Masao
現役大学生ミュージシャン。東京大学建築学科に在籍しながら、マルチリンガル(日本語、英語、中国語)を活かして、音楽業界の表・裏を問わず、活動中。
https://lit.link/lieus


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