ラウヴが告げる新章の始まり 比類なきソングライターが明かす葛藤と再生の物語

 
『All 4 Nothing』26歳の再スタート

新作『All 4 Nothing』は、「自分が26歳になって考えたことや、問い直したことを歌っている」という「26」で幕を開ける。それは「いくつか曲を作り、大ヒットして、やりたいことは何でもできると思い込んだ。でもそのせいで心に穴が空いてしまった」と歌われる、告白のポップソングだ。

「僕は恵まれた生き方をしているように傍からは見えるかもしれない。ラウヴとしてヒットも出せたし、いいキャリアを重ねているとも言えるだろう。でも、アリの気持ちはどうなんだ?って話でね。アリ・レフというひとりの人間の気持ちを大事にすることも忘れちゃダメだと思ったんだよ」




リード曲「All 4 Nothing (I’m So In Love)」のように昂揚感のあるロマンティックなメロディの曲もある。そこでは新しくできた恋人への気持ちをストレートに歌っている。が、明るい曲ばかりではない。ポップに聴こえる曲でも、不安や憂鬱や罪悪感が滲んでいたりする。「Stranger」では「暗闇が怖い」と歌われ、「Stay Together」では「君と僕は 一生一緒にいる運命じゃないから」と歌われ、「Better Than This」では「僕は不完全な人間だから」と歌われ、「I (Don’t) Have A Problem」では「なぜこんなにも孤独なんだろう」と歌われる。さらに「Hey Ari」では「取り繕った表情もバレてるよ。なあ、アリ、お前は幸せなのか?」と自問している。どこまでも自分に対して正直であろうとしているのだ。

「陰と陽との比率は50/50といったところだね。かなりダークな曲もあるけど、明るい曲もあるし、どの曲もエネルギッシュではあるんじゃないかな。歌詞がもの悲しい曲に、カラダを動かしたくなるメロディをつけたりもしている。陰鬱な作品にはしたくなかったからね。とにかく僕は、どんな考え、どんな感情も受け入れる気持ちを持とうと思いながら、このアルバムを作っていたんだ」


Photo by Kate Biel

1stアルバム以上に曲調は多彩で、ドラマチックに進んでいく。山あり谷ありだ。が、本編最後に収録された「First Grade」で救われた気持ちになる。シンプルだが、ラウヴのヴォーカルが実にエモーショナルで感動的なのだ。このようにメロディのよさとヴォーカル表現だけで勝負した曲は、これまでなかっただろう。

「そうだね。自分にとって特別な曲になったと思うよ。相手に対するメッセージとして書いたんだけど、同じくらい、自分自身に向けてのメッセージになった気がしている。歌も心からうたえた。誇りに思えるヴォーカル・パフォーマンスができたと自負しているよ」

ラウヴの新章がスタートした。






ラウヴ
『All 4 Nothing』
発売中
日本盤ボーナストラック収録
再生・購入:https://virginmusic.lnk.to/Lauv_kabs

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