J-HOPEが語るソロ作で伝えたいこと、ダークなペルソナ、BTSメンバーとの信頼関係

初のソロアルバムで伝えたかったこと

ー世界中の人が『Jack in The Box』のリリースを楽しみに待っています。世界の期待を背負うのは、どんな気分ですか?

J-HOPE:不安が50%、興奮が50%といったところですね。BTSのメンバーとして最初にソロ活動を行うので、責任のようなものを感じています。もちろん、プレッシャーもあります。『Jack in The Box』には、僕が個人的にやってみたかったことだけが詰め込まれているんです。そのため、「自分のやりたいことに集中しすぎてしまったのでは?」と悩むくらい不安になりました(笑)。不安が50%と言った理由は、ここにあるのかもしれません。このアルバムは、僕にとって本当に意味のあるものです。誇らしい気分であると同時に、ようやくリリースを迎えられてワクワクしています。

ーBTSのメンバーは、過去にソロアーティストとしてミックステープやシングルを発表していますが、ソロでフルアルバムをリリースするのはJ-HOPEさんが初めてです。こうした決定の背景は?

J-HOPE:BTSとしての活動と並行しながら「誰が最初にソロ活動を行うか?」という順番を考えるのではなく、僕は「BTSのJ-HOPEとして、どんな音楽を表現することができるのか?」と自問し続けてきました。そうしながら、着々と計画を練ってきました。ミックステープ『Hope World』(2018年)は、そんな自然な成り行きの結果だと思っています。そこからさらに自分の内面を掘り下げるにつれて、ダンサーとしての側面をもっと表現したいと思うようになりました。ダンスは、僕のトレードマークのようなものですから。その結果、こうした要素をより多く盛り込んだソロシングル「Chicken Noodle Soup」(2019年)の創作へとつながっていったのです。その後、J-HOPEとして音楽に対する“誠実さ”(sincerity)をもっと表現していかないといけないと思いました。だからこそ、『Jack in The Box』に取り組む際は、誠実さという要素に着目しました。結果的に僕が最初にソロ活動を行うことになったのは、常にその準備をしていたからだと思います。自分がトップバッターになりたい、と思いながらソロプロジェクトに取り組んでいたわけではありません。



ー『Jack in The Box』の構想は、どれくらい前からあったのでしょうか? J-HOPEさん自身、「常に準備をしていたから」とおっしゃっていますし、先日配信された「BTS Vlive」でも、“びっくり箱”や“パンドラの箱”といったモチーフが登場するフルバージョンの「Blue Side」(2021年)のアートワークが本作をほのめかしていると発言されています。

J-HOPE:実際、“びっくり箱”のコンセプトは僕のステージネームと深く結びついているんです。ですから、このコンセプトはいつも頭の片隅にありました。かなり前から、びっくり箱をテーマにした音楽をリリースしたいと思っていました。“パンドラの箱”も僕のステージネームの比喩でもあります。頭のなかには、「いつになったら(作品を)リリースできるのか?」「いつになったら、こうした要素を取り入れたアルバムに取り組めるのか?」という問いが常にありました。「Blue Side」のアートワークに本作をほのめかす要素を入れたいと思ったのは、僕なんです。制作にあたってアーティストの方と話し合う際、こうした要素を取り入れてほしいとはっきり伝えました。体系的なアプローチを通じて、アルバムと収録曲の準備を進めていたんです。

ー2015年の「1Verse」といったトラックでは、J-HOPEさんのダークな側面を見ることができます。この曲は、ビジュアル的には一見カラフルですが、歌詞の内容はディープなものです。「MORE」や今回のフルアルバムを通じて、ご自身のダークでヘヴィな側面を表現したいと思った理由は?

J-HOPE:ちょっと待ってください。どうして「1Verse」をご存知なんですか!?(笑)

僕自身、10年近くBTSのメンバーとしていろんなことを経験しました。当然ながら、こうした経験を踏まえて語りたいストーリーもたくさんあります。でも、現在のJ-HOPEとしてのイメージや雰囲気を通じてこうしたストーリーを音楽的に表現するのはかなり難しいと思いました……それに加えて、僕自身、こういうことをやってみたかったんだと思います。J-HOPEは明るくてポジティブな性格だけではない、ということをみんなに知ってほしいと思いました。J-HOPEは、ダークなコンセプトを表現できる幅のあるアーティストだということを知ってほしかったんです。あえてチャレンジすることで、こうした側面をアピールしたいと思いました。未来のことは、あまり考えていませんでしたね。

とにかく、自分がやりたいことや表現したいこと、披露したいことに集中する——『Jack in The Box』では、それをとことん突き詰めました。このアルバムには、こうした素朴な要素が込められていると思います。アルバムがリリースされた時のことを考えると、少し不安です。というのも、このアルバムは僕のやりたいことでいっぱいなのですから。みんながどんな反応を示してくれるか、すごく気になります。でも、僕が本当に伝えたいのは、このアルバムには僕の魂と誠実さが込められている、ということです。ある意味、とてもユニークなアルバムだと思います。それと同時に、音楽性という面でも意義のある作品です。J-HOPEが前進するためのひとつのステップになるのではないでしょうか。

Translated by Shoko Natori

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