70
「Friends」(2020年)


優しいドラムと心を和ませるシンセサイザーのサウンドが満載の「Friends」は、VとJIMIN(VMINの愛称でお馴染み)の固い絆に捧げられたオマージュだ。高校時代の楽しい思い出や懐かしいエピソード(餃子事件など)を回想するこの曲は、VとJIMINの力学と関係性が時間とともに開花した様子を垣間見せてくれる、心温まるトラックなのだ。VMINの変化を見守ってきた積年のARMYにとっては、とりわけ重要な意味を持つ曲だ。—D.D.

69
「Rain」(2014年)


ソフトジャズと難解なピアノの旋律にヒップホップを重ねた「Rain」は、新人時代からBTSのメンバーがマルチな才能を持っていたことを見事に証明している。BTSのラップラインとPdoggの共作である「Rain」は、雨の日のソウルというメタファーを通じて悲しみや単調さを表現している。たとえば“僕の体調を察したかのように、雨が降ってる/窓を濡らす雨粒を見ながら思った/まるで僕の心が流した涙のようだ”という真に迫るイメージを使って「Rain」の歌詞は空虚さを描き出す。絶望を表現する一方、いつかは変わるという希望がこの曲の根底に流れている。—R.C.

68
「Converse High」(2015年)


恋は目まいを感じさせる難解なパズルのようなもの——それは“白いTシャツ、デニムのショートパンツ、赤いコンバースハイ”にたとえられるかもしれない。『花様年華 Pt.1』(2015年)に収録されているグルーヴ満載の「Converse High」で、RMも“That’s it”とうなずく。このトラックで描かれるクールな男女の戯れから、目が眩むような喜びと誰かを好きになる高揚感が感じられる。好きな人のまばたきからエレガントに結ばれたスニーカーのダブルノットにいたるまで、恋に落ちるとささいなことも意味を持つ。—N.M.

67
「Anpanman」(2018年)


遊び心満載の人気トラック「Anpanman」は、BTSの十八番ないし社会的な啓発活動、あるいはその両方として見ることができる。「世界最弱のヒーロー」としてお馴染みのお茶目で心優しいアニメの主人公に共鳴したメンバーは、アリーナ級の壮大なポップパフォーマンスを説得力ある恐怖の告白に変えた。それは成功にともなう責任に関する感動的な見解であると同時に、自己愛の大切さとファンを支える気持ちを綴ったインスピレーションあふれるメッセージでもある。エネルギッシュでポップなヒップホップとEDMのパッチワークが、パーカッシヴなホイッスル、オートチューンされたチャント、アドリブ合唱、教会風のハンドクラップを駆使しながら繰り返しテンポとビートに変化を与えるなか、真のヒーローとは、愛する人々のためにすべてを犠牲にする人であることを子どもたちに伝えようとしている。—C.A.

66
「Autumn Leaves」(2015年)


別名「枯葉」としても知られる「Autumn Leaves」は、木々の色づきを過ぎ去る青春になぞらえたトラックだ。過ぎ去る青春は、まさに『花様年華』三部作のメインテーマでもある。“一枚の葉が枝に残ってる/その姿に、僕の心は動揺する、結末が見えるから/枯葉はしおれてゆく”という歌詞にもあるように、BTSはひとつのメタファーを使って生命のサイクルと時間の経過を見事に表現している。きらびやかなシンセサイザーの音色、パーカッションの響き、ダークなトラップとともに曲が進行するにつれて、曲のトーンは嘆きと許容のはざまを行き来する。—R.C.

Translated by Shoko Natori

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