チャーリーXCXが語る、弱さと強さ、絶望と希望、すべてをさらけ出すポップスターの覚悟

若いアーティストはチャーリーのアティテュードを見習うべき

それが『CRASH』やアーティストとしてのプロジェクトに関することなのか、それともエイチソンがこの場で積極的に明かしている現状についてなのかは定かでない。とどのつまり、そんなことは重要ではないのだろう。彼女が憧れのアーティストに想像力を刺激する絵に描いたようなポップスターダムを求めるように、今のエイチソンもまたそれをファンに提供している。2014年のComplex誌のカバーストーリーで、彼女は記者に対し「ポップミュージックの歴史を塗り替えたソングライターとして認知されること」が究極の目標だと語っている。その後の8年間で、彼女がそれを達成したことは疑いない。

彼女とコラボレートしたリナ・サワヤマにとって、チャーリーXCXは現代で最高のポップ・イノベーターだという。その素顔について、彼女はこう語っている。「愛すべきキャラクターでありながら恐れ知らず。彼女が成功しているのも、一個人としてもアーティストとしても人々を魅了しているのも、そういう部分が少なからず関係していると思う」。チャーリーと音楽業界の一筋縄ではいかない関係性から、サワヤマは自身のキャリア構築において大切なことを学んだ。「若いアーティストたちは、予定調和をよしとしないチャーリーのアティテュードを見習うべきだと思う。奇妙なことをやってみたり、とことんポップになってみたり、ただやりたいことをやればいいの」



取材終了間際、エイチソンは自分がネガティブすぎなかったか、あるいは筆者にそういう印象を与えなかったかを危惧しており、彼女が『CRASH』のリリースとそれがもたらすであろうものにエキサイトしていることを強調していた。「頑固だし人を食ったような態度をとってるけど、私はすごくポジティブな人間だし、ツアーに出てこのアルバムの曲をプレイすることを、死ぬほど楽しみにしてる」と彼女は話す。今年はキャリア史上最大規模となる、ロンドンのAlexandra Palace公演も控えている。「Hoxton Bar and Grillでライブしてた頃なんか客はママとパパだけだったから、何万人もの前で自分の曲を歌えるなんて本当に夢みたいで、とにかく待ちきれない」

自分がすべきこと、そして自分が何者であるかを唐突に再認識したかのように、チャーリーXCXは操縦桿をしっかりと握りなおし、再び本気モードに入った。「私には成功を享受する資格がある。身を滅ぼすくらい必死で頑張ってるし、決して自分に嘘をつかずにやってきたから、成し遂げたことを心底誇りに思ってる。それをステージで思いっきり見せつけてやるつもり」。何かを吐き出すかのような大きなため息の後、彼女の声にポジティブさが戻った。わかりやすさを拒否すること、それがチャーリーXCXの生き方だ。

from Rolling Stone UK

<INFORMATION>


『CRASH / クラッシュ』
Charli XCX / チャーリーXCX
ワーナーミュージック・ジャパン
配信中 / 輸入盤発売中
発売中

ダウンロード/ストリーミングはこちら:
https://CharliXCXjp.lnk.to/CRASHMe

トラックリスト
1. CRASH / クラッシュ
2. NEW SHAPES (FEAT. CHRISTINE AND THE QUEENS AND CAROLINE POLACHEK) / ニュー・シェイプス(feat. クリスティーヌ・アンド・ザ・クイーンズ&キャロライン・ポラチェック)
3. GOOD ONES / グッド・ワンズ
4. CONSTANT REPEAT / コンスタント・リピート
5. BEG FOR YOU (FEAT. RINA SAWAYAMA) / ベッグ・フォー・ユー(feat. リナ・サワヤマ)
6. MOVE ME / ムーヴ・ミー
7. BABY / ベイビー
8. LIGHTNING / ライトニング
9. EVERY RULE / エヴリ・ルール
10. YUCK / ヤック
11. USED TO KNOW ME / ユースト・トゥ・ノウ・ミー
12. TWICE / トゥワイス

Translated by Masaaki Yoshida

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