THE COLLECTORS、「現在進行形のバンド」としての姿を見せつけた2度目の武道館

「2度目」ゆえのリラックス感

この日のために用意されたエレポップ風の序曲「This is Mods」(Mの「Pop Muzik」や、フロントマンの加藤ひさしが気に入っていた『テレタビーズ』のテーマ曲を思い出させるチャーミングなインストゥルメンタル)が映像とシンクロして流され、場内の温度が一気にヒートアップしたところでメンバーが登場。ライブは加藤がコロナ禍の鬱憤を晴らすように書き上げたという“八つ当たりソングでありロックンロールの原点”、「裸のランチ」から爆発的にスタートした。

そこから「クルーソー」「ヒマラヤ」「ひとりぼっちのアイラブユー」まで、ビート・ナンバーばかりを畳み掛けるように披露。元THE SHAMROCKでネオ・モッズの粋を知り尽くした山森“JEFF”正之のよく動くベースが唸りを上げ、楽曲との相性の良さを痛感させる。




Photo by 後藤倫人

トークを挟んでから、少し雰囲気を変えてミドルテンポのバラード、「GIFT」を。当時全盛のJ-POP勢に対抗すべく、ソングライターとして試行錯誤を繰り返していた時期の名曲が、今では時代を越えて普遍的なラヴ・ソングとして胸に染み込んでくるから面白い。

現在に通じる“一皮剝けた”日本語ロックの原点、「たよれる男」では、古市コータローがイントロに入る前からグッとブルージーに煽る。間奏ではノイジーなワウ・ギターで容赦なく攻めまくり、早くも前半のハイライトと呼ぶに相応しい見せ場を作っていた。モータウン・ビートの「Stay Cool! Stay Hip! Stay Young!」も、ベースが普段よりゴリッと太めでワイルドに感じる。飛び切りポップなのだが、“ロック”としか言いようのない音像だ。




Photo by 後藤倫人

続く「扉をたたいて」は、古市コータローが加入したばかりの時期に生まれた曲。つまり加藤&古市という2トップの原点となる曲で、これを武道館で聴けるとは堪らない。傑作『虹色サーカス団』の中でも人気が高い、加藤のハイトーンが強烈なバラードだが、高音がスッと出て往時の輝きを失っていないことに驚かされる。もともとシンガーとしての強度が桁違いなのは言うまでもないが、60代に入ってからも不思議と衰えが感じられないのだ。

後半は、パンキッシュな「全部やれ!」、コレクターズ流パワー・ポップの見本のような「ノビシロマックス」を続けざまに。その後のトークで加藤ひさしが1981年に武道館で見たザ・ポリスについて話していた。筆者がこの日座っていた席は以前プリンスを観たのと同じ辺りで、そう言えばここでザ・フーやエリック・クラプトンも観たんだっけ……と、この聖地で観たスーパースターたちの勇姿が脳裏をよぎる。そうした絶対的なレジェンドしか立てない場所だった武道館だが、この日の4人は普段ライブハウスで演っているときとそれほど変わらない感じで、割とリラックスして演奏を楽しんでいるように見えた点は、前回の武道館との大きな違いかもしれない。前回は「ようやく曲が持っているスケールの大きさに合うハコに来た」と思ったものだが、この日は武道館ってこんなに狭かったっけ、と思わず見渡すことが多かった。

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