THE BAWDIES、ツアーファイナルで描いた笑顔のロックンロール

この日、THE BAWDIESはお馴染みの曲も交えながら、『BLAST OFF!!』の全12曲を披露したのだが、その12曲を軸にしたセットリストが印象づけたのは、デビューから12年目を迎えたバンドの円熟に加え、デビューした時から言われてきたガレージの一言には収まりきらない振り幅も自家薬籠中の物とした進化だった。

TAXMANとJIMによるリフの掛け合いがちょっとローリング・ストーンズっぽい「OH NO!」をはじめ、タフな魅力を見せつけた序盤から一転、ニュー・ウェーブ調のギター・サウンドが新しい「SUN AFTER THE RAIN」からのブロックでは、心地いいグルーブに観客が体を揺らしたマージー・ビート風のロックンロール「I DON’T WANNA」、TAXMANが歌う「LOOKER SUGAR」と繋げ、『BLAST OFF!!』が持つポップな魅力をアピール。そこからさらに一転、彼らのライブに欠かせない「IT’S TOO LATE」で今一度、観客を煽ってからの中盤では、高速ファンク・チューンの中で泥臭いブルース・フィーリングと型破りなオルタナ感覚がせめぎあう「RUN AROUND」、THE BAWDIESサウンドの雛型とも言えるアイズレー・ブラザーズの「WHY WHEN LOVE IS GONE」のリスペクトフルなカバー、THE BAWDIES流のネオコアなんて言ってみたい「YES OR NO」、そして、プログレ・サイケな魅力もあるポップ・ナンバー「ROLLER COASTER」と前述した振り幅を存分に見せつけたのだった。


TAXMAN(photo by 山川哲矢)


JIM(photo by 山川哲矢)

その4曲が同じアルバムに収録されているのだから、『BLAST OFF!!』がいかにチャレンジングなアルバムだったか。THE BAWDIESはそれを改めてライブでも伝えたわけだが、その一方で、彼らのライブの、もう1つの見どころでもあるエンタメ要素もパワーアップ。やはり彼らのライブに欠かせない「HOT DOG」の大いなる前フリでもあるコント「HOT DOG劇場」はBGMに加え、衣装、小道具がどんどん本格的になってきたが、この日は日本が世界に誇る国民的人気ゲーム/アニメをパロッて、観客の笑いを誘った。そして、今回、行く先々のご当地ネタでMARCYの珍回答が続出したという「わっしょい川柳」は果たして今後、定番化するのか⁉ いや、してほしい!

観客に、そんな期待も抱かせつつ、終盤は「心の中で一緒に大声で歌ってください!」(ROY)とシンガロング・パートを持つ「LET’S GO BACK」「T.Y.I.A.」を繋げ、ラストスパートを掛ける。因みに「T.Y.I.A.」のMVを見た人なら、同曲の演奏中、シンガロング・パートでバックドロップに映し出されたT、Y、I、Aの文字に紛れ込ませた茶という文字に思わず噴き出したことだろう。そんなところにも観客をとことん楽しませたいというバンドのエンタメ精神が窺えた。

Rolling Stone Japan 編集部

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