ニルヴァーナやジミヘンの「新曲」を制作、AIプロジェクトの真意とは?

Photo illustration by Griffin Lotz for Rolling Stone. Photographs used in illustration by Frank Micelotta/Getty Images; Agencia el Universal/AP; Michel Linssen/Redferns/Getty Images


AIプログラムによる曲作りのプロセス

曲を作成するにあたり、オコナー氏とスタッフはGoogleのAIプログラムMagentaを使用した。特定のアーティストの楽曲を分析して、作曲スタイルを学習するのだ。かつてソニーもこのソフトウェアを使ってビートルズの“新曲”を作った。エレクトロポップ・グループのYachtは、これを使って2019年のアルバム『Chain Tripping』を制作した。


ビートルズ風の「Daddy’s Car」



Lost Tapesプロジェクトにおいて、Magentaはアーティストの楽曲をMIDIファイルで分析した。自動演奏ピアノと似たような仕組みで、ピッチやリズムをデジタルコードに置き換え、シンセサイザーに出力して曲を再生する。コンピューターは各アーティストの音符のチョイスやリズムの癖、ハーモニーの嗜好をMIDIファイルで検証し、新しい音楽を作る。それをスタッフが詳しく調べ、最高の部分を取り出すのだ。

「入力するMIDIファイルが多ければ多いほど、出来もよくなります」とオコナー氏。「僕らも1人のアーティストにつき20~30曲をMIDIファイルで用意し、それぞれサビの部分、ソロパート、ボーカルメロディ、リズムギターに分けて、1度にひとつずつ入力しました。曲全体をいっぺんに入力すると、(プログラムも)どんなサウンドにするべきか混乱してしまうんです。でもリフの部分だけたくさん用意すれば、AIが書いた5分の新しいリフが出来上がります。そのうち90%は聞くに堪えないような代物ですけどね。それを全部聞いて、面白そうな部分をちょっとずつ探していくんです」


エイミー・ワインハウス風の「Man, I Know」

オコナー氏と彼のチームは、人工ニューラルネットワークと呼ばれる一般的なAIプログラムを使って、同じように歌詞も作り出した。アーティストの歌詞を入力し、出だしの数語を選んでやると、プログラムが音韻や抑揚を予測し、歌詞を完成させた。「試行錯誤の連続でした」とオコナー氏は言って、スタッフはMagentaが生成したボーカルメロディに音節がぴったりフィットする言い回しを求めて「何ページも」歌詞を精査した、と付け加えた。

Translated by Akiko Kato

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