伝染病専門家が予測する、米国内におけるコロナウイルスの感染拡大

ライク教授はインペリアル・カレッジのレポートについて、「(現時点でのコロナウイルス拡大に関する)より包括的なモデリング研究」と評している。しかし同時に「“無対策”のシナリオは、現時点である程度の数字が積み重なっているにしろ、起こりえないと思う」ともコメントしている。ライク教授らがまとめた専門家の予測モデルでは、米国で150万人以上の死者が出る可能性は約6%と試算されている。

「モデルはあくまでも予測に過ぎません」とライク教授は言う。「各モデルには、検証不能な多くの仮定が含まれます。(インペリアル・カレッジの)モデルにも、100%正しいとは言えない仮の前提条件が全体的に採用されています。現時点では私たちにも未知の要素が多すぎます」と教授は付け加えた。

状況がどれほど急激に変化してきたかは、5週間前にライク教授らが初めて実施したアンケートに対する専門家からの回答を見れば明らかだ。

最初のアンケートでライク教授とマカンドリュー研究員は、「米国内で確認されるCOVID-19の症例は4月1日までに100件を超えると考えますか?」と質問した。教授によると、多くの専門家から「ノー」という回答が返ってきたという。「4月1日までにCOVID-19の感染者数が100人を超えるだろうと回答した専門家は、全体の6割強でした。その後はご存じの通り、あっという間に超えてしまいました。」

ジョンズ・ホプキンズ大学の集計によると2020年3月19日午後現在、4月1日までまだ2週間を残して、米国内で確認された感染者数は1万1274人で、150人以上が亡くなっている。

「専門家ですら予測するのが難しいレアで不確実な状況であると言えます」とライク教授は言う。「今回の感染拡大は、いわゆるブラックスワン・イベント(滅多に起きないが大きな被害をもたらす事象)です。通常とは大きくかけ離れた状況で、専門家でも正確に予測できないでしょう。」

Translated by Smokva Tokyo

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