新型コロナ、多くのミュージシャンの暮らしが崩壊する危険性

Laura Partain*


生計という点で、新作リリース後のツアーがその年の収益を支える。つまり、このツアーで弾みをつけて、年末まで続く勢いを作り上げるのだ。SXSWをツアーの最中に入れることも計画の一つだ。さらにオフィシャルのショーケースと(アウトドア製品のメーカーの)Yetiのパーティーという出演料の高いイベントに出演予定だったが、それもキャンセルされ、ライブすらできないオースティンで3日間過ごさないといけない。コストを相殺するために、今、クラブでのライブを手配している最中だ。これまでこのような状況に陥ったことなど一度もない。仕事がない年は確かに厳しいのだが、今回はすべて準備が整った時点でこの一件が発生したため壊滅的な状況なのだ

とは言うものの、ナッシュビル在住の私たちの家はあの竜巻の被害を受けなかった。今回の悲しい現実に落胆しているとは言え、それでも私は罪悪感を感じてしまう。私たちよりももっと酷い状況の人たちがいるのだから。でも、私はここ8年間アルバイトをしていない。妻もそうだ。音楽が私たちの本業なのだ。ウチは単一収入家庭のため、ツアーが中止になると夫婦二人が同時に解雇されたのと同じ状態なのである。

私にとっての最悪のシナリオは、新作リリース・ツアーを敢行したところで、ウイルスに恐れをなして観客が一人も来ないことだ。だから、ツアーを延期して、当座の被害を受け入れることがマシなシナリオなのだが、まだその決断を下せないでいる。あまりにも多くのことが危険に瀕していて、あまりにも多くのことが進行中で、あまりにも多くの金銭が失われるのだから。

パール・ジャムがツアーを延期したと聞いた。彼らがそうしたのは素晴らしいことだが、悲しいことに、私のようなインディペンデント系アーティストの場合、現時点でそういう対応に出られるほどの金銭的余裕がない。私がパブリシストとラジオ局へのプロモーターと一緒にチームを組んで活動するのは2年に一度、それも4ヵ月だけだ。それすら新作アルバムがちゃんとリリースされるという幸運が舞い込んだときだけだ。すべてが機械のように密接に関係しながら手配される。アルバム発売まで3週間の今になって「発売日を変えるつもりだ」なんてことは絶対に言えない。アルバム発売に向かってすでに勢いがついているのだ。

ファンのみんなに知ってほしいことは、お気に入りのアーティストたちの多くがツアーとグッズの物販で生計を立てている事実だ。レコードプレーヤーを持っていなければ今こそ一台購入して、アーティストのアナログ盤やTシャツを買ってくれ。必要なくてもそうしてほしい。大げさに騒ぎたいわけじゃないが、ツアーが出来ないアーティストたちは生活費が支払えなくなり、ホームレスへの道まっしぐらなのだ。

今、私には答えがない。誰にもない。未知のものに対する恐怖が現在の状況を悪化させる。状況は日々変化しているし、私は今後も変化を踏まえて冷静に行動するしかないだろう。

Translated by Miki Nakayama

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