ONE OK ROCKの代々木ライブを考察、Takaが問いかける「覚悟」の意味

ONE OK ROCKのTaka(Photo by Rui Hashimoto<SOUND SHOOTER>)

2020年1月29日、東京・国立代々木競技場第一体育館で開催された「ONE OK ROCK 2019-2020 "Eye of the Storm" JAPAN TOUR」。筆者にとっては2年前のフルオーケストラとの競演ライブ以来、2019年のアルバム『Eye of the Storm』を経て観る初めてのステージ。バンドが歩んだ第二章の仕上がり具合を楽しみに、会場に足を運んだ。

リリースから1年以上、海外や日本のステージで『Eye of the Storm』の曲を披露してきただけあって、ONE OK ROCKが求めた変化とはどういうものだったのか冒頭からよく分かった。陰影のある「Eye of the Storm」の多層的なサウンド(映像の演出もクール)。静と動が織りなす「Grow Old Die Young」のスケール感(アタック感の強いリズムの中、バンドの演奏でビシッと締めるところもさすが)。「Can’t wait」のポップさ(Toruが掻き鳴らすギターの余韻がいい味出してる)。バンドの表現力に幅が出たことで「Clock Strikes」のような過去の曲も彩りが一層豊かに。波打つように広がっていくパワーだけでなく、「Worst in Me」のような内省的な響きも自在に操れるようになったという点が、第二章を迎えたバンドのストロングポイントだと感じた。

スマホのライトが会場を照らした「Be the light」の“Even though the days go on So far so far away from / It seems so close(時間は流れて あの日からどんどん離れていく/でもまだあの日は近くに感じる)”というフレーズ。4人のメンバーを寄りでカメラが抜く映像上の演出もあったせいか、Taka(Vo)、Toru(Gt)、Ryota(Ba)、Tomoya(Dr)の凄みがより伝わった「Push Back」の“Now we’re back in the fight/止まることなく走り続けて/この先に待つどんな苦難どんな試練も/It’s like their holding the””というフレーズ。Takaが感じた「自分ごと」の歌詞でありながら、それを「みんなごと」として感じさせるエネルギーがONE OK ROCKの「歌」にはある。Tomoyaが弾くピアノとTakaのヴォーカルが織りなすバラード「In the Stars」では、2人だけにスポットライトが当たる照明にもかかわらず、その歌が客席を明るく照らしているかのような感覚を味わった。


Toru(Photo by Rui Hashimoto)


Ryota(Photo by Rui Hashimoto)


Tomoya(Photo by Rui Hashimoto)

4人のバンドマンと約1万2千人のオーディエンスが作り出す尊い空間。当たり前のことかもしれないが、そこにあったのはただただシンプルに、歌と音楽だった。きらびやかな照明や巨大なスクリーンはパフォーマンスを盛り上げるための装置でしかない。会場の規模問わず、ONE OK ROCKのライブとは「語らい」の場であり、その共通言語になっているのはONE OK ROCKの曲である。胸の内に秘めたいろんな想いを炸裂させるかのように、ステージ上にエネルギーを送るオーディエンス。それに対して、まだまだ足りないと言わんばかりにさらにテンションを上げていく4人の演奏。この純度の高さこそが、ライブの真骨頂だ。俺たちのように貪欲に生きろ、誰かが作った既存のものにとらわれるな――。ONE OK ROCKが約15年の歴史で作り上げた「価値」とは、自分らしくいることは何も恥ずかしくないということではないだろうか。そしてそんな価値観を圧倒的な演奏力と歌唱力で体現してみせた約2時間半、ONE OK ROCKというバンドはさらに進化していくと確信した。


Photo by Rui Hashimoto

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