QOTSAジョシュ・オムが新領域を開拓、デザート・セッションズの個性的すぎる音世界

5.「Crucifire」 (lead vocal: Mike Kerr)


マット・スウィーニーとジョシュが作曲した、アップテンポの小気味良いロック・ナンバー。ここでリード・ヴォーカルを任されているのは、ベース/ドラムスのデュオ編成ながらド迫力のロック・サウンドをブチかますUKロック界の俊英=ロイヤル・ブラッドのマイク・カー。そこに、シザー・シスターズで艶やかな歌声を聴かせていたジェイク・シアーズが、クレジットでは「スーパー・ハイ・ノート」と形容される高音のコーラス・パートをかぶせている。なお、この曲はアルバム発売と同時に、バイクに変形可能な女の子が登場するアニメーションのビデオクリップも公開された。





6.「Chic Tweetz」(vocals: Töôrnst Hülpft, Matt Berry)


『プーと大人になった僕』や『スポンジ・ボブ 海のみんなが世界を救Woo!』といった映画にも出演しているイギリス人俳優/コメディアンのマット・ベリーがフィーチャーされた、今回のセッションで最もユーモラスなナンバー。読み方すらよくわからない正体不明の人物Töôrnst Hülpft(※ご丁寧にTwitterアカウントまで開設されており、なんだか意味不明のことを呟いたりしている)が、途中でレゲエ調に変わったりする軽快な楽曲に乗せて、愉快な歌を聴かせる。明らかにピッチを変調した声であることから考えても、おそらくは誰かの変名なのだろう。前作『Vol.9&10』にも、ジェフ・ザ・タフ・ジェントルマンなんていう謎めいたクレジットがあったし、ジョシュが持つ独特のユーモア・センスを感じられる。





7.「Something You Can’t See」 (lead vocal: Jake Shears)


おふざけ面白ナンバーを挟んで、今度はジェイク・シアーズがリード・ヴォーカルを担当。特に中盤の滑らせるように歌う部分などは一時期のデヴィッド・ボウイっぽくもあり、イギー・ポップとの仕事を通じてジョシュが得たものを反映させたようにもに思える。ご存知の通り、シザー・シスターズは2012年から無期限休止に入ってしまったが、ジェイクは昨年になってようやく1stソロ・アルバムを発表。ひとつ前の曲では「彼が言うなら何だって100%バックアップするわっていうスタイルのバックアップ・ヴォーカル」なんて表記されているジェイクには、今回のデザート・セッションズでの体験を経て、個人活動にも弾みをつけていってもらいたい。


8.「Easier Said Than Done」(lead vocal: Joshua Homme)


アルバムのラスト・ナンバーは、ジョシュがしっとりした声を聴かせる美しいバラード。共作したのはカーラで、ジェイクとマイクがハーモニー・ヴォーカル。単なる偶然だろうけれども、なんとなくジェイクとマイク、ステラとカーラに関して、ジョシュは名前の韻を踏んだうえで対比をつけるように使っている気がしてくる。また、主要メンバーには入れられていないが、ランチョ・デ・ラ・ルナの共同経営者として、過去のデザート・セッションズにも深く関わってきたデイヴ・キャッチング(イーグルス・オブ・デス・メタル)が「最後にちょっとだけシンセ」みたいな感じでクレジットされている。



<リリース情報>

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Desert Sessions
『Vols. 11 & 12』
BEAT RECORDS / MATADOR
発売日:2019年10月25日(金)
レーベル:BEAT RECORDS / MATADOR
国内盤特典:オリジナルステッカー封入 / 解説書・歌詞対訳封入
OLE1488CDJP ¥2,200+税

=収録曲=
01. Move Together
02. Noses in Roses, Forever
03. Far East For the Trees
04. If You Run
05. Crucifire
06. Chic Tweetz
07. Something You Can’t See
08. Easier Said Than Done

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