キアヌと監督が語る『ジョン・ウィック』シリーズの斬新さ「犬はジョンの人生を繋ぐシンボル」

─ハル・ベリーが演じるソフィアのドッグ・アクションも見どころです。『ジョン・ウィック』シリーズにとって犬は重要なキャラとなっていますが、おふたりは犬の描き方についてどんなこだわりをお持ちですか?

キアヌ:君の言う通り、犬はこの映画において中心的な存在だ。チャドはこれまでに「ガン・フー」(銃のアクション)とか、「カー・フー」(カーアクション)を生み出してきたから、それに続く犬のアクションとして「ドッグ・フー」って呼んでいるくらいだしね(笑)。ハリー(ハル・ベリー)は何ヵ月も犬とのトレーニングに臨んだんだ。撮影中は彼女に「犬たちと絶対に目を合わせちゃダメよ」って注意されたよ(笑)。なぜなら、彼らは主人に対してとても忠実で、彼女を守ろうとする習性があるから、他の人間が迂闊に近づくのはよくない。犬たちの能力には僕自身も感銘を受けたし、彼らとそこまでの関係性を築き上げたハリーの仕事っぷりにもリスペクトしかないね。


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チャド:第1作目では、子犬のデイジーがある種の「シンボル」としての役割を担っていたんだよね。

キアヌ:(食い気味に)イノセンス!

チャド:そう(笑)。「純真無垢」や「無邪気さ」を表すシンボルで、デイジーを通してジョン・ウィックは亡き妻のヘレン(ブリジット・モイナハン)への愛を再確認していたとも言える。そして、ジョンが殺し屋として暗躍していた過去の人生と、ヘレンと出会ってからの人生を繋ぐ存在でもあった。この映画を観てくれた観客がみんな犬に強く惹き付けられているから、『ジョン・ウィック』はある意味で「犬の映画」と呼べるかもしれない。もちろん、『名犬ラッシー』とはまた違った切り口だとは思うけどね。

─ああ、分かる気がします。

チャド:1作目のラストで、ピットブルを救うシーンがあっただろ? 彼もまた、ジョンの新しい人生のシンボルになっているんだ。僕もデヴィッド・リーチ(製作総指揮)も犬や動物が大好きだから、『ジョン・ウィック』には他の映画にはない温かみが感じられるのかもしれないね。いっぽう『ジョン・ウィック:チャプター2』では、ジョンはピットブルを通してヘレンとの思い出がフラッシュバックする。それは単に過去のことではなくって、彼の「現在」にも通じているんだよ。で、今回は犬たちにもアクションに挑戦してもらおうというアイディアが浮かんで、5匹の若いベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアと半年以上におよぶトレーニングを行ったんだ。それが映画とハマるかどうかは僕らも未知数だったけど、結果的には僕にとってもお気に入りのアクション・シーンが完成した。犬に関しては、もうこのシリーズのDNAとして組み込まれていると言っても過言ではないかな。


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─最後に、キアヌさんの初来日から28年、ブレイクを果たした『スピード』からも25年が経過しました。あの頃の自分を振り返ってみて、どんな俳優だったと思いますか? また、当時と比べてアクション映画に対するアプローチはどう変わりましたか。

キアヌ:そうだね、25年前と今の大きな違いは「経験値」だと思う。たとえばアクションは当然とのこと、そのアクションにまつわる他の要素を気にかけられるようになった。(キアヌにとって初のアクション映画だった)『ハートブルー』(原題:Point Break)の頃はまだまだ若くて、映画の世界についても知らないことだらけだったからね。今はずっと知識や経験がある分、監督やスタッフとも密にコラボレーションができているし、僕もちょっとは映画に貢献できるようになったんじゃないかと思うな(笑)。


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<映画情報>



『ジョン・ウィック:パラベラム』
2019年10月4日(金)全国ロードショー
監督:チャド・スタエルスキ
出演:キアヌ・リーブス/ハル・ベリー/イアン・マクシェーン/ローレンス・フィッシュバーン/マーク・ダカスコス/アンジェリカ・ヒューストン
配給:ポニーキャニオン
原題:JOHN WICK:CHAPTER3 PARABELLUM(2019/アメリカ)
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レーティング:R15
公式サイト:http://johnwick.jp/

Rolling Stone Japan 編集部

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