チェインスモーカーズとのコラボで知られる歌姫、ホールジーが「ミレニアル世代の声」となった理由を辰巳JUNKが解説

さらに、ホールジーは「クィアな女性ポップスター」だ。彼女はスターダムにあがった初期段階からオープンリィ・バイセクシャルだった。マスメディアと結託した大袈裟なカミングアウトも行わないまま、同性との性愛を描く「Ghost」のMVをリリースしている(なお、本作の舞台は東京)。



前世代ポップスターよりもセクシャリティをナチュラルに享受するホールジーの姿勢は、ヘイリー・キヨコやトロイ・シヴァンなどの若手クィア・アーティスト勢に連なっていく。まだまだ壁は大きいが、アメリカで若者から支持を受けるポップスターがセクシャル・マイノリティであることは珍しくもなくなった。ホールジーのHOT100首位獲得は、USポップスターのジェンダーの多様化としても受け止められる事象だ。

一方で、立ちはだかる壁の大きさを示すように、ホールジーは政治や社会問題にも盛んに声をあげる。これもアメリカン・ミレニアルズの傾向と一致している。2018年中間選挙における投票率激増が示すように、今日のアメリカの若年層は政治への関心が高い。闘う若者を代表するポップスターは、中傷に晒される立場でありながら、声をあげ続ける。2018年、ウィメンズ・マーチ(or “ニューヨーク女性大行進”)の壇上に立ったホールジーは、性的暴行被害の経験を明かしたスピーチをこう締めくくっている。

「やらなければいけないことが、歌われなければいけない歌があります。神は知っています、これが勝たなければいけない戦いだということを」

Edited by The Sign Magazine

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