3月20日に10枚目のオリジナル・アルバム『VIVIAN KILLERS』をリリースしたThe Birthday。ここではライター/DJのジョー横溝によるチバユウスケ(Vo, Gt)へのロングインタビューをお届けする。お酒を呑みながら両者が交わす様々なトークをご堪能あれ。
―よろしくお願いします。
チバ:うん。ビール買ってきたから。1本どう?
―いただきます。それで思い出したんですけど、ACIDMANの大木伸夫さんが、以前フジロックに出演した時、ライブの前日、緊張して眠れない夜をホテルで過ごしてしたら、ホテルの廊下を酔って放歌している人がいて。ドアの覗き穴から見たらチバさんだったそうで……。
チバ:ウソ? ダメじゃんそれ。たぶん、俺はライブが終わってご機嫌だったんだろうね。でも、それは大木くんに悪いことしたな。
―それが、酔ったチバさんを見て、緊張が解けたそうです(笑)。フジロックって、海外アーティスト勢も多いから独特な感じがあると思いますし。
チバ:あんまり関係ないと思うけどな。まぁ俺も最初はイキがってたけど、今となっては別に……だね。日本のバンドだけのフェスも海外のバンドが出てるフェスも全部一緒な感じになってきてると俺は思うからね。
―そこに隔たりはないですか?
チバ:ほとんどないと思うな。まぁつまんないフェスはつまんないけどな。ショーケースみたいなのはやっぱつらいな。
―フェスといえば、去年の9月に開催された「AIR JAM 2018」へのThe Birthdayの出演は、チバさんのファンだった横山健さんの願いが叶うカタチで実現したんですよね?
チバ:ファンじゃないよ。普通に知り合いだよ。健が屋根裏でバイトしてて、対バンしたりとかしてた。たぶんドラムはクハラだったんじゃないかな、その頃は。
―そうだったんですね。さて……ニューアルバム『VIVIAN KILLERS』の話を。オリジナルアルバムとしては10枚目ですが、10枚目というのは意識しましたか?
チバ:ない。そもそも枚数なんか数えてない。俺が数えると間違えるんだもん。しかも10枚の中に『MOTEL RADIO SiXTY SiX』は入ってないってことでしょ? だから俺の中では11枚目みたいなイメージなんだよ。
―なんで『MOTEL RADIO SiXTY SiX』はカウントされないんですか?
チバ:まあ、ミニアルバムっていうね。その言い方が俺は大っ嫌いで。なんとか変えてくれって言ったんだけど変えられなかった。
(ビールをグビグビと呑む)
そうだ! ライブ・アルバムも出してるじゃん俺! いっぱい出してるよ(笑)。
―急にうれしそうですね(笑)。つまり何枚目のアルバムを作ってるっていう感覚はないと?
チバ:そういう感覚はないよ。10枚目だから何とかって別にないでしょ。ないし、10枚目って思ってないしさ。ライブ盤も入れたら12枚目。ベスト盤も出してるしね。オリジナルアルバムとして11枚目ってことだよ。で、今回のアルバム、どうだった?
―僕は大好物でした。
チバ:ありがとう。
―最後の曲「OH BABY!」が終わった時にウルっとくるくらい良かったです。
チバ:おっ!そっち派ね。
―はい。あと随所にロックンロールへのオマージュが垣間見れて、そこもくすぐられました。だって、今年のグラミー賞、主要4部門でバンドのノミネーションはグレタ・ヴァン・フリートの1バンドだけで。
チバ:言ってみたら、俺らは時代に沿ってないってことだよね(笑)。まぁでもソロアーティストのほうがパワーが強いんだろうね。レディー・ガガみたいなさ。ああいう人のほうがたぶん強いんじゃないかな、パワーがね。
―逆に言うとバンドは弱くなってるんですかね?
チバ:わかんない。それは俺に聞かれても。
―ええ。『VIVIAN KILLER』のようなバンドの素晴らしいアルバムが出るとすごいうれしくなって「ほら見たことか!」と言いたくなるんです。
チバ:ああ。ビール、もう1本呑む?
(冷蔵庫からビールを2本出してくる)
はいよ。