【密着ルポ】ディアハンターが明かす過去と現在「同世代で最もボウイに近いのは僕だ」

ディアハンターのブラッドフォード・コックス(Photo by Daniel Dorsa for Rolling Stone )

ディアハンターのブラッドフォード・コックスを自宅取材。ロックシーン随一の予測不可能なフロントマンが、自分の内側に息づくボウイを裏切ることなく、穏やかな日々を手にするまでの過程を明かす。

ブラッドフォード・コックスが初の自叙伝を書いたとき、彼は16歳だったという。「タイトルは『The Burden of Time Is Fucked』だったよ」と本人は言う。これはZineに近いもので、ジョージア州アセンズに住む労働者階級の孤独なクイアの少年が、未来の自分に向けて書いたものだった。「ペラッペラだったよ。書くべき内容なんてなかったんだから」とコックスが付け加える。

それ以来、コックスは自叙伝を何冊も出せるほど波乱万丈の人生を歩んできた。2001年から彼が率いるディアハンターは、21世紀に出現した偉大なギターバンドの一つで、ワイルドな狂乱、深い悲しみ、焼け付くような怒りを表現した音楽を奏でている、文字通り駄作ゼロのバンドだ。8枚目のアルバム『Why Hasn’t Everything Already Disappeared?』も彼ららしい作品と言える。優雅なアレンジと答えのない疑問を収録した同作は、強烈さが持ち前のディアハンターらしからぬ地味な音楽とも言えるが、それが逆に魅力的なのだ。彼らと同世代のバンドが解散したり、守りに入ったりしているなか、ディアハンターは今も活動を続け、大きな会場でライブを行い、ファンを驚かせる方法を模索し続けている。



2018年12月半ばのある日、雨模様の昼下がりのことだ。アトランタのグランドパーク近くにある自宅の応接間の椅子にリラックスした様子のコックスが座っている。その足元には保護した愛犬フォークナーが丸まって寝ている。2〜3年前に引っ越した36歳のシンガーは、この家を洗練されたテイストの所蔵庫にしていた。

Translated by Miki Nakayama

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