商業施設のBGM、音楽配信サービスを個人アカウントで使用したらどうなる?

Soundtrack Your Brand社とニールセン社の合同調査により、中小企業の83%が音楽著作権使用料をきちんと支払っていないことが判明。(Photo by shutterstock)

世界の音楽業界は毎年26億5000万ドルの損失を出していると言われているが、その原因の一つに、小規模企業による個人向け音楽配信サービスの不正使用があるという。アメリカ現地時間15日、ライセンスサービスを展開するSoundtrack Your Brand社とニールセン・ミュージック社の合同調査結果で判明した。

店舗やレストラン、そのほかの公共施設(公的な興行が開催される場所)で音楽を流す場合、SpotifyやApple Musicといった音楽配信サービスの個人使用に関する法律とは別に、著作権法に乗っ取ってライセンスを取得しなくてはならない。だが今回の調査によれば、小規模企業のうちライセンスを取得済みの企業はわずか17%、残り83%は個人向け音楽サービスを使用。さらに、こうした企業のオーナーの大多数が、音楽サービスの個人アカウントを商業施設のBGMとして使用できるものだと誤って認識していた。

「調査結果そのものには驚いていませんが、その規模に関しては、正直驚いています」と、Soundtrack Your Brand社の会長兼共同創始者のアンドレアス・リフガーデンはローリングストーン誌に語った。「音楽業界が一丸となって啓蒙活動に力を入れるべきでしょう。Netflixのアカウントを使って映画館を開くことはできません。こんなことを言うと、みなさんは目を回して『そんなこと知ってるよ』とおっしゃるでしょうが、音楽ではなぜかそうはならない。TV業界や映画業界では当たり前で通っていることが、音楽業界では大手企業を除いて当てはまらないのです」

企業向けライセンス発行サービスを行うSoundtrack Your Brand社は「BGM版Spotify」とも呼ばれているが、責任の一端は彼らにもある。だからこそ今回、同社はニールセン・ミュージック社に世界規模でのBGM調査を依頼したのだ。ニールセン社は7カ国(アメリカ、イギリス、スウェーデン、スペイン、イタリア、フランス、ドイツ)の約5000店舗を対象に聞き込み調査を実施。マクドナルドのような大企業は除外した。調査によれば、世界2940万店舗のうち、2130万店舗が個人向け音楽サービスを利用している計算になる。つまり、1社が個人会員向け音楽配信サービスを利用した場合、月平均8ドル33セントの損失が生じることになる。無料音楽サービスの場合は、月平均11ドル96セントの損失。すなわち、音楽の著作権所有者であるミュージシャン、作曲家、レーベル、編曲者、プロデューサーは、毎月1億ドル以上を失っていることになる。

音楽配信サービス黎明期にSpotifyの取締役員をつとめたリフガーデンは、Spotifyが10年前に創業した当時は、著作権違法よりも音楽ファン獲得を重視したサービス構築を目指していたと振り返る。

「音楽業界は、消費者を犯罪者呼ばわりしたり、10代の若者やシングルマザーを訴えるのは得策ではないと判断したのです。より大規模で、よりインタラクティブかつユーザーフレンドリーなものを世に提供しなくては、というのが業界の合言葉でした。今回の件に関しても同様です。我々は、人々が使いたくなるようなより良いサービスを構築しなくてはなりません」。調査ではまた、企業オーナーの86%が音楽の課金システムに好意的で、さらに42.8%が「音楽は自社にとって重要だから」と回答した。だが、問題の原因は認識の欠如(音楽業界が著作権ルールの周知徹底をしていない)と、システムの理解度(利用者にとってライセンスの行程は分かりにくく、頭痛のタネである)にある。

プレスリリースの中でリフガーデンは今回の調査を「警鐘」としてとらえ、顧客企業に対してはストリーミングサービスを不正利用している事実を認めるべきだと述べている。

Translated by Akiko Kato

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