カニエからビットコインまで、ジャレッド・レトが語る現代のアメリカ

―巨大なサウンドが出る新しい楽器「モノリス」からツアー名をとっていますが、ハンス・ジマーに感化されたとか?

ジャレッド:直接的にはないよ。楽器については、エンジニアに「すまないが、その椅子を少し使いたいんだ」と言って、Pro Toolsを立ち上げて、そこで曲作りを始めるんだ。俺はエンニオ・モリコーネやタンジェリン・ドリーム以来、ずっとサウンドトラックが好きだった。子供の頃はあの『炎のランナー』すら気に入っていたんだから。あと『最後の誘惑』のサントラは昔から変わらず気に入っている1枚だ。「モノリス」は今回のツアーでアリーナの真ん中に置いてある可動式の巨大な彫刻へのイントロだ。それに建物の中には約18メートルのモノリスがあるんだよ。

―つまり、スパイナル・タップは出さずに18メートルのモノリスを出したと?

ジャレッド:ああ(笑)。でも、モノリスはたくさん出てくるよ。最初、俺たちは巨大な長方形の箱の中で演奏を始める。実は、この箱にハマってしまう危険性があるんだけど、俺たちのコンサートはかなり緩いから、もし箱から出られなくなったら、それはそれで最高に面白いコンサートってことになるはずだ。もちろん、そうなったら、その箱はメーカーに返品して二度と使わないけどね。

―このアルバム制作中に映画『スーサイド・スクワッド』と『ブレードランナー2049』の撮影もしていましたよね? 大変ではなかったですか?

ジャレッド:俺の場合、何かに集中すると、100%それに集中するんだ。音楽を作るときは、マネージャー、マーケッター、クリエイティヴ・ディレクター、プロデューサー、ライター、ミュージシャン、シンガー、ソングライターを少しずつやるわけだ。これが楽しいんだが、頭が変になりそうなことが多々ある。今回のアルバムの場合、アメリカを撮影したドキュメンタリー映画を作った。2017年7月4日の各州の様子をまとめたものだ。これは今編集している最中だよ。この映画は心躍るクリエイティヴなチャレンジに満ちあふれていて、今まで作ったどんな作品よりも難しい作品だね、たぶん。

―テクノロジー企業への投資家でもあるあなたに、ビットコインや暗号通貨がどんなふうに映っていますか?

ジャレッド:クリプトには手を出さない。これはアルバム・タイトルになるべき単語さ。俺の知り合いの中で一番利口な人間であり、世界で一番成功している2人の人間に聞いてみたら、彼らは暗号通貨には否定的だった。彼らの予想が外れるわけがないからね。

―あなたはスマッシング・パンプキンズのファンですが、ダーシー抜きの再結成をどう思いますか?

ジャレッド:ごめん、彼らが再結成することすら知らなかったよ。



サーティ・セカンズ・トゥ・マーズ

サーティー・セカンズ・トゥ・マーズ

『アメリカ』
2018年5月23日発売

日本盤はエイサップ・ロッキーをフィーチャーしたシングル曲「One Track Mind」など4曲のボーナス・トラックを収録した、全16曲収録の豪華デラックス・エディション仕様
https://www.universal-music.co.jp/thirty-seconds-to-mars/

Translated by Miki Nakayama

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