音楽・人・アート「媒介」の力で広がる小林武史のクリエイティブ

『Takeshi Kobayashi meets Very Special Music Bloods』をリリースした小林武史(Photo by Yoko Yamashita)



─最近はヒップホップやR&B、EDMが主流となり、バンドはその勢いに押されている気もします。

小林:おそらく、ラッパーたちは言いたいことがまだまだまだ沢山あって、バンドでアレンジしてレコーディングするなんていうプロセス自体、まどろっこしくて仕方ないでしょうね。ロックをやっていること自体がカッコ悪いっていう状況に、この先どんどんなっていくだろうし、長く連れ添ったメンバーで丁寧に作り上げていくバンドのありようが、クリエイティブなフォーマットとして今どうなのか?っていう。予算もかかりますしね。でも、そうはいっても生楽器の音はなくならないと僕は思っているんですよ。生楽器をちゃんと活かした新しい音楽が、この先、生まれないなんてことは、絶対にない。

─思えば90年代のウォーターフロント・スタジオのサウンドは、ジョン・レノンの『ジョンの魂』のアップグレード版だと思っていました。

小林:なるほど! 確かに、同質のものだと僕も思います。

─そうやって時代は周り続けているのかも知れないですね。

小林:そう、ロックも進化しているからね。ONE OK ROCKも凄い。あれも「大谷翔平現象」の一つじゃないかな。あれだけ等身バンドのテクニックで、同世代の洋楽ロックとシームレスにつながって。「全く遜色がない」どころか、向こうのメインストリームでも通用するレベルに進化している。きっとTakaくんの声質とか、海外のシーンの中ではものすごくユニークに聴こえるでしょうしね。

─では最後に、最近気になっていることを教えてください。

小林:今は、世界中で保守とリベラル両方の力が浮き上がっている時代だから、この先どういう方向へ向かっていくのかは気になりますね。日本はどうなっていくんだろう。別に暗いわけでもないでしょう? よく「ガラパゴス」なんて言われますけど、そこともどう向き合っていくのか。音楽をやっているとその辺りは気になります。先日、桜井くんと話したとき、僕らの目指すべきスタンスは「知性を持ったグレーゾーン」じゃないかと。

─つまり白か黒か、はっきりさせなくても思考停止でなければいいと。

小林:そう思います。韓国の情勢を見ると、保守と革新が交互に政権を取って、その反動もものすごいじゃないですか。僕らは日本に住んでいて、あそこまでの変化は誰も求めてないと思うんですよね。

音楽で最近気になっているのは、昔のシンフォニーです。当時の作曲家たちは、どういうモチベーションで音楽をやっていたのか、どういう気持ちで次の扉を開けようとしていたのか、調べていくとだんだん分かってくるんですよ。例えばWikipediaなんかにもクラシックやジャズ関係は相当詳しく書いてあるんです。それを読みながら聴いていると、なかなか面白い。250年前でも音楽の物凄いブームがあったり、物凄い名曲が全く受け入れられなかったり。今とそんなに変わらないシーンみたいなものがあるんですよね。それと、多くの作曲家は晩年にすごくいい作品を作っている。それを見て「よし俺も頑張ろう」と喝を入れています(笑)。


Takeshi Kobayashi meets Very Special Music Bloods』
VA
ユニバーサルミュージック
発売中

ap bank fes ’18
7月14日(土)前日祭 開場12:00 / 開演14:00(予定) / 終演19:00(予定) / 閉園22:00
7月15日(日)開園8:00 / 開場9:00 / 開演11:30(予定) / 終演19:30(予定) / 閉園22:00
7月16日(月・祝)開園8:00 / 開場9:00 / 開演11:30(予定) / 終演19:30(予定) / 閉園22:00
会場:つま恋リゾート 彩の郷
http://fes.apbank.jp/

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