80年代生まれの焦燥と挑戦:夏目知幸「他では味わえないオリジナリティとクオリティの大切さ」

シャムキャッツの夏目知幸(Photo by Tetsuya Yamakawa)

「ミレニアル世代」という言葉が市民権を得て久しい。アメリカで1980〜2000年初期に生まれた世代のことを指し、これからの経済を動かすとされている若者たちだ。日本でも同様に「バブル」「ゆとり」「さとり」と常にそれぞれの世代は名前を付けられがちだが、ふと自分たちの世代にはこれといって名前が付いていないことに気づく。今回、ジャンルを問わず花開きつつある30代の方たちと、じっくり話してみることにした。

第6回 夏目知幸(シャムキャッツ)

現在の日本のオルタナティヴ・ロックシーンにおいて常に独自の手法を編み出しながら、確固たるポジションを築いてきたバンド、シャムキャッツ。その人懐っこさと冷静な視線とを駆使し、上の世代と下の世代を繋ぐべく奔走するフロントマン・夏目知幸の存在は80年代半ば生まれのバンドマンの中でもひときわ目立つ。今この時代に、自らバンドを運営しシーンを作ること。そこにかける思いを聞いた。

― 夏目さんは大学を卒業後、就職などはせず、バンドをずっと続けてこられていますね。

夏目 はい、結構見切り発車でしたけど。でも“人生一度きりしかないから、やりたいことだけやる時期があってもいいかな”と思い。最初は戦略すらなく、ただこの4人で集まったら何か面白いことできるんじゃないかというアイデアだけでバンドを始めて。そもそも、僕らは大学在学中に活動できていなかったので。高校時代までにはもう4人揃っていて「シャムキャッツ」という名前だけは決まっていたけど。

― 活動していない、というのは?

夏目 付き合っているってことにはなったけど、全然デートしないカップル、みたいな感じです(笑)。就職活動という問題が目前に迫ってきたときに、このまま普通に就職しても面白くないから、バンドちゃんとやらないかと3人に声をかけたのが始まりです。

― その4人でやることに確実な何かを感じていた。

夏目 これ以上、面白い人たちは他にいないという手応えだけはありました。たぶん、4人ともが他の3人に対しそう思っているんじゃないかな。この感覚を持ってる人たちとなら、という直感はあった。世代の話で言えば今の若い子たちって、最初から自分がどういう音楽で世間に認知されたいかの像があると思うんです。商売というか、アート作品として自分たちを売り出すにはそういうこともとても必要で、今となっては僕たちもそうできている部分もあるけれど、最初はもうね、全然違いました。以前は僕たちのようなバンドの方が圧倒的に多かったような気もします。全然まとまってない、ただバンドがやりたいだけ。“いいバンドだったら売れるはずだろう!”という。

― “いいバンドとは何か”には無数に答えがあると思うものの“いいバンドだったら売れるはず”と自分たちを信じる力みたいなものが、意外とバンドを続けるのに最も大事なもののような気もします。

夏目 そういうキラキラした、ちょっと冷静じゃない、盲目的なところが、やっぱりバンドのいいところでもあるというか。エレファントカシマシなんかもそうだと思っているんですけど、何か周りの人にはわからない、すごく強いもので繋がっている感じがないとバンドとは言えないような気はしています。

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