80年代生まれの焦燥と挑戦:夏目知幸「他では味わえないオリジナリティとクオリティの大切さ」

シャムキャッツの夏目知幸(Photo by Tetsuya Yamakawa)



― ある種の冷静じゃない熱のようなものはシャムキャッツ主催のイベント「EASY」にも通ずるところがあるように思います。

夏目 確かに。「EASY」は「オール・トゥモローズ・パーティーズ」っていう海外のフェスを参考にしました。枠組みやフェス名は決まっているんですが、フェス自体はキュレーターが毎回違うもの。音楽だけでなくその周辺のカルチャーも同等に取り入れて。また、当初は5人くらいまでの少ないメンバーで活動しているバンドにのみ出てもらい、そこで生み出されるスペシャルなものを感じてもらう、というコンセプト。そして、そういうスタンスの先輩と後輩を混ぜる、という目的もあって。そういった価値観がもっと日本の中で重要なものと思われてほしいなって思ってました。


・夏目知幸がレコメンドするもの
『オール・トゥモローズ・パーティーズ』
同名のフェス、10年間の歴史を収めた2009年発売のドキュメンタリーDVD。

― そうして仲間が徐々にできていくなかで、昨年には自主レーベルのTETRA RECORDSを設立し、中国や台湾でのライブも増えてきていますね。

夏目 レーベルに所属せず活動している期間が4〜5年あり、お客さんももっと増やして広げたいね、という話から(以前の所属先である)P-VINEに入ることになり。そこからゆっくりではあるけど順調に右肩上がりで活動できてきた。3年ほどやって、よりいい環境をつくれるんじゃないかと次のステップを見据えようとしたときに、新しい協力者みたいなものが、当時見つかりそうだったんです。でも、途中で頓挫しちゃったんですよね。全部白紙になって。でもバンド動かさないとご飯が食べれないわけだし、なんとかしないとと話し合い、これはもう自主レーベルをやろう、という流れになりました。

― いろいろありますね。お金だったり、さまざまな要因が。全部白紙って、かなりキツイですけど。

夏目 いつかは自分たちで全てやるのかなとは、どこかで思ってましたけど、結構早めに来たな、と。タイミング的には、自主レーベルの設立と、台湾や韓国など日本以外の国でライブをする話はほぼ同時に来たような感じでした。

― それは本当にバンドとしては大きな転換点ですね。

夏目 そう。新しく飛び出す瞬間でもあり、同時に初心に返った瞬間でもありました。一番最初に信じていたバンドをやり始めたときの気持ち、オリジナリティが強いものをやらなきゃ意味がないという思いがよみがえってきたんです。バンドを続けているうちに、だんだんと受け取ってくれる側のことを考え過ぎるようになっていたかも、と。そういうサービス的なものではなく、もっと、他で探しても見つからないオリジナリティのあるものをやらないと自主レーベルの意味もないし、海外の人にも伝わらないんだな、と。

― 言葉が通じなくても自分たちの音楽を評価してくれる人たちと出会えたからこそ、の部分ですね。

夏目 あとは、クオリティも相当必要だと感じました。アジア全体で届けたいって思ったからこそ、より、僕らに触れないと味わえないものを作ることが、バンドとして、またすでに会社になっているレーベルとして今とても大事なことなんだ、と。

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