ブラック・サバスのラストツアー オジー・オズボーンと仲間たち、その内情
「『ジ・エンド』にようこそ」。オジー・オズボーンがシカゴのユナイテッド・センターに詰めかけた2万人のファンに向けて言う。バンドがオープニング曲『黒い安息日』でめいっぱいゴシックな雰囲気を醸し出すも、オズボーンのほうはどこか哀しげだ。「信じられるか?1968年からずっとやってきたんだぜ」
ロックファンの度肝を抜いてからすでに約半世紀。ブラック・サバスは有終の美を飾ろうとしている。"ロック界最高の幻視者"である彼らの大規模さよならツアーが『ジ・エンド』だ。
オズボーン曰く、解散というアイデアはギタリストのトニー・アイオミ、ベーシストのギーザー・バトラーとの総意だという。終わりを迎えつつある今、長居して嫌われる前にさよならしてしまおうという寸法だ。「いつまでも続けて恥をかきたくないからな」とオズボーン。彼は今回の決定が最終的なものであると確信している。「何なら金を賭けてもいい」
これまで盛んに報道されてきた通り、パーティにはひとり、サバスの話を語るうえで重要な役者が欠けている。2011年にオリジナルメンバーが再集結、この顔ぶれでは約33年ぶりの新作を出す予定と発表されていたが、ほどなくしてドラマーのビル・ワードがバンドを去った。「とうていサインできる契約ではなかった」とワード。
オズボーンが彼について「信じられないくらい太りすぎ」でツアーには向かないと評して以来、表立った形でもバンド仲間と反目している。