ブラック・サバスの有終の美、さよならツアー『ジ・エンド』とは

ワード不在で進めると決めた後、サバスはさらに危機的な状況に陥った。2012年にアイオミがリンパ腫と診断されたのだ。しかし彼は、19枚目のスタジオアルバム『13』の作曲に献身。同アルバムは2013年のアメリカチャートで初登場1位を記録した。2014年のツアーについて、「あれが最後になると思ってた」というバトラー。「だが今はこんな感じだ。“俺たちにはもうひとつツアーが残ってる。やれる間はやろうぜ”」

ツアー前、バンドは『13』に続くアルバムのレコーディングについて話し合っていた。しかし、バトラーが止めたそうだ。「その時点で、アルバム用に曲を書き、レコーディングするための時間が半年しかなかった。で、絶対に不可能だと言った」。彼の概算だと『13』は制作に(事前に進めていた期間を含め)約3年かかっている。「新作が出来上がるまでには、みんなおっ死んじまうだろ」とバトラー。

オズボーンは現在67歳。「俺たちには時間がない。正直言うと、もし新作がまた1位じゃないなら、みんなぶち切れていただろう。だから、『13』での成功という形に留めておいた。"もう二度とトニーやギーザーとレコーディングしない"というわけじゃない。俺はただ、今後ブラック・サバスでツアーはしたくないだけだ」

巡業暮らしのつらさは最近であろうが、彼らがツアーに出始めた70年代であろうが、そうは変わらない。アイオミが血液検査を受けるため、バンドは定期的に休みを取っている。同様にオズボーン自身も、健康に気を配っている。3年ほど酒を飲んでおらず、1日1時間は有酸素運動をしているそうだ。ベジタリアンだったバトラーは、ビーガン(完全菜食主義者)となった。バンドがパーティ三昧だった頃と比べると、著しく対照的だ。「これ以上、自分を苦しめたくはない」とオズボーン。「もう体力的には楽にはならない。ストーンズの馬鹿どもがどう対処してるのかは知らないが」

「俺はずっといかれた反逆児だった」というオズボーン。「今じゃ考えられない。ジャック・ダニエルをたらふく飲んで、"白い粉"を常備して朝までほら話、それが楽しいと思ってたんだから。もし今同じことをしなきゃならないなら、目ん玉を突いたほうがましってもんだ」


Translation by Shinjiro Fujita

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