「コンサートをやって、そのお金を寄付しようって考えたけど、現実的に、ボイコットをして重圧をかけることが、一番とびきりの効果を期待できることなんだ」と、パール・ジャムのフロントマン、エディ・ヴェダーは、力強く語った。
パール・ジャムは4月18日に、渦中のHB2法(通称『トイレ法』)への抗議として、ノースカロライナ州のローリーでの公演を中止すると発表した。その発表から数時間後に行われたバンドのヴァージニア州ハンプトン公演で、エディ・ヴェダーが会場のファンに、説得力ある力強いスピーチでこの決断について説明した。
「コンサートをやって、そのお金を寄付しようって考えたけど、現実的に、ボイコットをして重圧をかけることが、一番とびきりの効果を期待できることなんだ。結果、それに巻き込まれるべきじゃないみんなが巻き込まれてしまうのは、残念なこと。でもな、究極なアクションこそが、変化を引き起こしてくれるんだ。それで、俺たちは周りでいろんな動きがある中で、コンサートをするのは間違ってると思った」
エディがこのスピーチを始めたのは、ハンプトン・コロシアムでの最初のアンコール曲の前だった。「ノースカロライナ州の今の状況に対して、俺たちがどうするべきか、難しい決断をしないといけなかったんだ。ある特定のグループをあらゆる面で差別する法律が、できてしまったからさ」。エディがこのように、トランスジェンダーの人々が自分たちの認識している性別の公共トイレを使用することを認めない、ノースカロライナ州のHB2法の話題に触れると、ファンはブーイングをした。「君たちがノースカロライナ州にブーイングしてるのか、そこでコンサートをしない決断をした俺たちブーイングしてるのか、分からないな。でも君たちの気持ちは分かる」
パール・ジャムはアンコール1曲目に、スティーヴ・ヴァン・ザントの『I Am a Patriot 』のカヴァーを披露し、「LGBTコミュニティの戦士たち」へ捧げた。ちなみに、スティーヴ・ヴァン・ザントがギターを担当するブルース・スプリングティーンとEストリート・バンドも、HB2法への抗議のため、4月10日に行われる予定であったノースカロライナ州のグリーンズボロ公演を中止している。
「ローリーのみんな、謝らせてくれ。ローリーのライヴに来てくれる予定だったみんな、申し訳ない。俺たちときっと同じことを信じてるローリーのみんな、ごめんな」エディがこう謝罪する場面もあった。「彼らには怒る理由があるし、僕らも怒ってる。でも俺たちは、怒りの矛先を正しいヤツに向けなきゃいけないんだ。そしてあいつらに、考えを変えてもらわなきゃいけない。だってヤツらは間違いを犯したんだ。それも大きな間違い。それを正してもらわないといけない」