2016年グラミー賞パフォーマンス総括:最も輝いていたのはケンドリック・ラマー

Rob Sheffield | 2016/03/02 17:00

| 2016年グラミー賞で、ケンドリック・ラマーが最多受賞の5冠を達成した。(Photo by Larry Busacca/Getty Images for NARAS) |

多数の追悼トリビュートが行われ盛り上がりをみせた、第58回グラミー賞授賞式の一夜を振り返ってみよう。


本年度のグラミー賞授賞式の数々のパフォーマンスはどれも大盛況だった。その中でも一段と華を添え、観客を盛り上げてくれたのは、ケンドリック・ラマーのステージだ。彼のステージで最高潮に達した会場の熱気は一晩中おさまることなく、誰が見てもこの夜のキングは、ケンドリックで決まりだった。


2016年グラミー賞で、ケンドリック・ラマーが最多受賞の5冠を達成した。

一曲目の『The Blacker The Berry』は独房の中という演出で始まり、別の囚人が奏でるサックスの音が響き渡った。その後一気に『Alright』へなだれ込むと、燃え上がる炎とアフリカンダンスで、さらに会場を湧かせた。そして最後は、新曲のお披露目。絶妙なカメラアングルで画面いぱいに映し出される、真っ白な光の中の彼の姿は(『ステーション・トゥ・ステーション』ツアー時期のボウイに似ていた)、トレイヴォン・マーティンについての一節「2月26日、オレも死んだ」に込めた彼の怒りの声とマッチしていた。最後には『コンプトン』の文字が書かれたアフリカの地図が映し出された。皆がケンドリックに釘付けとなったパフォーマンスであった。

このステージは、言うまでもなく濃密な一夜のハイライトだった。この夜、一つ足りないものがあったとしたら、それはアデルが音響スタッフを叩きのめす姿を撮ったライブ映像だろう。


ブロードウェイ・ミュージカル『ハミルトン』からケンドリックまでの流れは実に見事で、セス・マクファーランドが途中で話す場面でさえも、会場の雰囲気が台無しになることはなかった。アレキサンダー・ハミルトンを描いた『ハミルトン』の中継パフォーマンスは、激熱なひと時だった。リン=マニュエル・ミランダのラップ調受賞スピーチも、授賞式夜の見せ場のひとつであった(横にはプエルトルコの旗をふるメンバーも)。テイラー・スウィフトの『アウト・オブ・ザ・ウッズ』のパフォーマンスは圧巻で、ボウイを思わせるキラキラ光る女性宇宙飛行士の衣装に身を包んだ彼女は、その後宇宙で開かれるパーティに向かうかのようだった。しかし実際には、最前席に真っ直ぐ戻りセレーナ・ゴメスとイチャイチャするというビジネスに戻ったテイラー。彼女たちは一晩中、仲良く2ショットを披露し続けていた。そして最優秀アルバム賞に輝いたテイラーは、檀上にあがる途中でケンドリック・ラマーと抱き合い、フェミニズムを支持する素晴らしいスピーチを堂々と行った。(カニエに対する反撃と思える発言も・・・!?)また、最優秀新人賞を獲得したメーガン・トレイナーは号泣し、一方で同賞を逃したコートニー・バーネットは檀上で大泣きすることはなかった。
Translation by Miori Aien

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