06年5月にグラント・マクレナンを襲った心臓発作は、同時にゴー・ビトウィーンズの終わりも意味した。77年にオーストラリアのブリスベンで結成されたゴー・ビトウィーンズは、10年間のオフ期間を経て2000年に再結成。3枚のアルバム・リリースをはじめ、精力的に活動した。06年2月には、ライヴ・ツアーの模様やインタヴューを収めたドキュメンタリーDVD『ザット・ストライプド・サンライト・サウンド』もリリースしていた。そして、主要メンバーでありソング・ライターだったグラント・マクナレンとロバート・フォスターは、バンドが休止中にも、決して曲作りを止めることはなかった。彼らのバイタリティーは、まるで若手ミュージシャンのようだった。ファンたちは、バンド・メンバーと一緒に年齢を重ね、成長していった。  このベスト・コンピは、2枚の新作アルバムの中から選りすぐりの楽曲が選ばれた。さらに、中心人物だった2人がバンドの休止中に発表した、4枚のソロ・アルバムの中の楽曲も収録されている。このコンピが、マクレナンの死がなければ存在したはずのゴー・ビトウィーンズのニュー・アルバムの代わりになるとまでは言わない。しかし、ただ単に聴くだけでは済まない「何か」を、リスナーに感じさせるだろう。 ゴー・ビトウィーンズのアルバムは、マクレナンとフォスターが正反対の印象を与える楽曲を創り出し、その対比が全体の価値をさらに高めていた。そこが素晴らしかったのだが、このコンピにはそれはない。なぜなら、それぞれの個人的な作品が、バラバラに収録されているからだ。そして2人のソロ作品は、あくまでも相容れない。楽曲のサビ部分には類似性を感じるが、それはあくまでも表面的なもの。もし今、ゴー・ビトウィーンズが存続していたとしても、彼らは「ひとりずつ」で音楽を作り続けるべきなのだと思う。マクナレンは生きていたら、今年の秋に5枚目のソロ・アルバムのレコーディングを開始する予定だったという。

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