irienchyが語る、ラブソングを4カ月連続でリリースした理由、人生応援ソングとの共通点

irienchy

「少年の頃のワクワクを忘れずに、人生を謳歌すること」をモットーに活動中、多彩なポップソングを奏でる4人組バンド、irienchy。2020年1月の結成以降、彼らが発表した楽曲は、“ひとりぼっちで闘う人”を鼓舞するエールソングが中心で、物事を斜めに見てしまう人、だけど本当は素直でいたいと思っている人の共感を集めてきた。2023年12月に1stフルアルバム『MISFIT』をリリースし、現在は心機一転。バンド初の試みとして、ラブソングを4ヶ月連続で配信リリース中だ。「コイ夏」「曖昧 me mine」「ダメラブストーリー」「ANSWER」という4曲について、メンバーに語ってもらった。

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―入江さんの家での作曲セッションから生まれたバンドだから、irienchyという名前になったそうですね。では誰が入江さんなのかというと、4人のうち、唯一メンバー名に苗字がついていない諒孟さんが入江さんだという。

宮原颯(Vo/Gt):最初の方は恥ずかしくて隠してたんですよ。あまりにもそのまま過ぎたので。でも、「入江さんのおうちで組んだバンドだからirienchyだよ」と言った方がみんな覚えてくれるんじゃないかと、だんだん思えてきて。「ここは誰ん家? irienchy」と始まる曲もありますし、今では「なんで隠していたんだろう?」と思っているくらいで。

諒孟(Gt):毎回説明する方が面倒くさいしね。だから、いずれ改名を発表する日が来るかもしれません(笑)。

―結成の経緯を聞かせてください。宮原さんとドラムの本多さんは元々MOSHIMOというバンドで一緒に活動していたんですよね?

宮原:はい。僕はMOSHIMOではベースを弾いていて、楽曲は作っていませんでした。だけど「曲を作ってみたいな」という気持ちになったタイミングがあって、友達の紹介で会った入江さんと「とりあえず遊びみたいな感じで、作ってみようか」という話になって。ボーカルとギターだけでスタジオに入ってもアレなので、ドラムの響平も誘いました。そしたらスタジオを出る時に響平が「もう、バンドやろうよ!」と切り出してくれて。

本多響平(Dr):僕は颯くんが学生の時に作りためていた曲を聴いたことがあったのと、「入江さんという人がいて、今一緒に曲を作ってて」という話を聞いていたので、「これは面白い方向に進みそうだな」という直感が働いて。曲調も好みだったし、僕は、颯くんの聴き手に対しての伝え方が好きなんですよね。それで「一緒にやろうよ」と伝えました。

―ベースの井口さんはどのタイミングで合流したんですか?

本多:1曲目の「Message」のレコーディングの1週間前ですね。

宮原:響平の専門学校時代の先輩で、僕と入江は居酒屋で初めて会いました。初めて会う時、「これからメンバーになるかもしれない人なんだから、厳しく接するぞ」「真面目に見極めるぞ」と思っていたんですよ。だけど、いざ話したらすごくいいやつだったから、厳しくするまでもなく(笑)。すぐに「よし、一緒にやろう!」ってなりました。だから「まずは音を合わせて」みたいなこともなく、本当に人間性で集まったみたいな感じ。

―井口さんも、曲を聴く前に加入を決めたんですか?

井口裕馬(Ba):そうですね。音源とかは何も聴いていなかったです。僕は昔バンドをやっていたけど解散してしまって、それ以降は一人で活動していたんですよ。だからirienchyに入る時は「これが最後のバンドだ」という気持ちだったんですけど、そのわりには、どんな音楽をやるのか知らない状態で加入を決めて(笑)。

―不安はありませんでしたか?

井口:それが全くなかったんですよね。3人ともいい人たちだったし。入ったあとに音源を聴いたら 「いい曲だね」とやっぱり思ったし。

宮原:しかもめちゃくちゃフッ軽だったんですよ。「無理せんでいいんやけど、来週レコーディングで……」と伝えたら、「いけるよ!」と即答してくれて。

井口:びっくりしたけどね(笑)。「えっ、来週?」って。

―バンドを組むにあたって、性格さえ合えば、音楽的なルーツや好みが若干バラついていても大して問題ではない、という感覚はありましたか?

宮原:あったと思います。好きな音楽がバラバラだとしても、それはそれで面白いかな、みたいな。

諒孟:実際、それぞれが出したいサウンドって若干違っているんですよ。颯くんが作る曲は、優しい歌モノでフォーク寄りだけど、響平はロックドラムが好き。裕馬はパンクロックが好きで、僕はミューズとか、ギターが思いっきり出ている音楽が好きです。だからけっこうバラバラで、それぞれが「こういう音を出したい」という個人的な思いを持っているんですけど、このアンバランスさがかえって強みになっている気がします。最初の方はどうバランスをとろうかということで、すったもんだしましたけど、何年も一緒にやっていると、だんだんまとまってくるんですよね。時系列で曲を聴いていくと、だんだんまとまっていく感じが分かると思うんですけど……いや、そんなことはないかも(笑)? 「スーパーヒーロー」のような青春ポップスもあれば、「藁人形の館」のようなギターが前面に出ている曲もあるし、「ごめんねありがとう」のようなフォーク・歌モノもある。サウンドからはあんまり一貫性は感じられないような……。





―でも、このバリエーションの豊かさがirienchyらしさだと。

井口:そうですね。ルーツはバラバラだし、「楽器を思いっきり鳴らしたい」とか、やりたいことはそれぞれあるんですけど、「最終的にはボーカルを届けたいよね」という意識は4人でちゃんと共有していて。それがバンドの軸になっているように思います。

本多:自分たちの軸みたいなものがはっきり見えるようになったのは、やっぱりライブをやるようになってからですかね。最初の1~2年は流行り病の影響でライブがなかなかできませんでした。その後ライブをすることで、自分たちが何を届けたいのかがより明確になって。「だったら、こういう曲が必要だよね」という考えで制作をすることもできるようになりました。最近はライブの音作りでも「言葉をしっかり届けられるように」ということを意識しています。

Rolling Stone Japan 編集部

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