jo0jiが語る、imase&なとりとの仲、死生観を歌う理由

jo0ji

落ち込んでいた友人に向けて、初めて作った曲が「不屈に花」。YouTubeに公開したところ反響を呼び、昨年9月には、WONKの江﨑文武と井上幹、常田俊太郎ら参加のEP『475』をリリース。地元・鳥取の漁港で仕事をしながら、今年7月、メジャーデビューを果たした。それがシンガーソングライター・jo0ji(ジョージ)である。

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昭和歌謡やフォークを今の時代にアップデートし響かせるjo0jiの歌は、「人間や人生、この世のものは、すべて不確かである」ということを実直に表現し、心の奥底を撫でてくれる。彼の死生観とはどんなものなのか、そして「音楽」というものをどう捉えているのかが気になっていて、その答えをもらったのがこのインタビューだ。9月25日にリリースされたimase & なとり「メトロシティ」にはシークレットゲストとして参加していたことを聞きつけて、その話題から入ってみた。

―先週リリースされたimase & なとり「メトロシティ」にjo0jiさんが「ガヤ」として声を入れられています。2月に公開したimaseさんとなとりさんの対談取材で、imaseさんがjo0jiさんの音楽を好きで、なとりさんに「jo0jiを紹介するよ」と会話をされていたのを聞いていて……その半年後にこうして曲が生まれたことに、めちゃくちゃワクワクしました。

jo0ji:imaseは、2022年8月に初めて「不屈に花」をYouTubeに出したとき、Instagramのストーリーズに上げてくれて、そこからDMするようになって。去年の春頃に東京へ来たタイミングで初めてご飯に行って、遊ぶようになりました。なとりはimaseが連れてきてくれて、今年の2、3月あたりに3人でご飯を食べに行って、仲良くなって「スマブラ」しようねと言ったりしていて。まだできてないんですけど(笑)。



―imaseさんとそこまで仲が深まるきっかけや共通項など、何かあったんですか?

jo0ji:本当に一番初めのタイミングだったので、まずimaseが連絡をくれた時点で「この無名の俺と関わってくれるんだ?」みたいな、そこでいいやつだなと思って。曲もポップで、俺とは正反対というか、俺には絶対に作れないだろうなと思うものを作っているところを尊敬します。imaseはみんなをフックアップすることが上手いし、俺らの世代でみんなをつなげる役割を担っているのだろうなと思いますね。コミュ力高いし。歳下ですけど、歳下感が全然ないですね。

―世代のハブ的存在というか。

jo0ji:そうなってくると思いますよ、彼は。

―「メトロシティ」のレコーディングは、どんな雰囲気でした? 友達感というか、和気藹々とした楽しそうな空気が、ちゃんと音源に入ってますよね。

jo0ji:入ってますね。「I! Y!」(サビ)とかやったりして。めっちゃ楽しかったです。そういうところに呼んでくれることも嬉しいなと思って。いい曲だし。しかも、都会に染まるか染まれないかみたいな瀬戸際にいる主人公が都会について歌っている曲で、まさしく俺も今そういう気持ちになってるので、「わかるなあ」って。まあ俺に関しては全然染まれてないんですけど(笑)。

―「世代」で括って語るのはあまりに乱暴だと思うんですけど……曲の作り方、歌の紡ぎ方とかで、3組に共通することは何かあると思いますか?

jo0ji:なとりとimase、どちらにも言えるのは、作り方が頭いいなって。ちゃんと彼らなりのメソッドがあって、それに則って作っている感がある。ちゃんとわかってやっているというか、「こういうものを作る」と決めて作っている感じがしますね。それがすげえなと思います。俺はどちらかというと、思い浮かんじゃったものをそのまま止まらずに突き進んで作っていくので。二人は言葉の選び方も「こういうふうに言ったほうがわかってもらえる」みたいな自分なりの言い方をちゃんと持ってるうえで、ポップスに刺していくのが上手いなと思います。

―jo0jiさんは、直感的に曲を作ったり、表現したいものをそのままゴリっと出したりしている感覚ですか?

jo0ji:そうですね。だから、あの二人は本当にすごいと思います。

―SNS/ストリーミング時代に出てきた世代のアーティストは、海外もごく自然と視野に入れている人が多いと感じるのですが、jo0jiさんは海外に対する意識についてどうですか?

jo0ji:海外をまったく見てないわけではなく、海外の人にも届けばいいなと思っているんですけど、「日本人じゃないとこういう表現にはならないだろう」というものを確立させた状態で届けたいと思っていますね。

―「海外に届けるため」のアレンジとかを考えるよりも、日本で生まれ育った自分らしいものを作ることが一番大事で、それこそが海外でも受け入れるんじゃないかと。

jo0ji:そのほうがいいように思うんですよね。

―2月に出したimaseさんとなとりさんの対談では、海外の人も聴きやすくする手法のひとつとして、グルーヴを出すための日本語の選び方や歌の中の母音の処理の仕方の話になったんですね。そこは、jo0jiさんの意識はどうですか?

jo0ji:多分、彼らの作り方だとそれがいいんだと思うんですよ。洋楽のビートでやると、どうしてもメロディに日本語がはまりづらいときがあるし。歌にグルーヴを出さなきゃいけないときはやったほうがいいんですよ。でも俺のやり方だと、そうじゃないほうがいいんだろうなと。歌謡的な感じで攻めていくとなると、逆に日本語っぽい節回しにしたほうがいいような気がしていて。演歌っぽいアプローチとか、民謡っぽい感じにするとなると、また話が違ってくると思うんですよね。

―jo0jiさんはそれだけ「歌謡」「演歌」とか、日本の伝統ある歌を今の時代に自分らしく表現することを、自分のオリジナリティとして大事にされているということですよね。

jo0ji:自分が住んでいるところが田舎ということもあって、音楽にもちょっと土着っぽい雰囲気があると思っていて。今の音楽シーンは、シティっぽい音になってきている感があるので、自分はそことは違う、ルーツが見えるようなものを作っていくべきだなと思っています。そこに今っぽいものをちょっと混ぜ込みながら、でも軸はずっと「田舎」「海」「自然」とかが垣間見えるようなものを作っていくのがいいのかなと思っていますね。

―2024年の今、もちろん歌詞がいい曲とかはたくさんあるんですけど、ここまで日本語のフォークを感じさせてくれる音楽は貴重だなと思うんですよね。

jo0ji:ありがとうございます。フォークとかカントリーが本当に好きだったので、そういうものがちゃんと聴こえるように作りたいなと思います。それらも海外から来たものだとは思うんですけど、そこに日本っぽい節回しとかが乗ってるものは、日本特有な感じがするんですよね。そういうものを今っぽくアップデートして音にできたらなと思います。

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