オアシス再結成を機に、永遠のデビュー作『Definitely Maybe』30年目の再検証

 
ソーミルズ・スタジオでのアウトテイクにも新たな発見

「モノウ・ヴァレー・スタジオVer.」の破棄が決まると、バンドはPAエンジニアだったマーク・コイルを共同プロデューサーとして迎え、94年にソーミルズ・スタジオでレコーディングをやり直す。最初のセッションの反省から、スタジオ内でライヴと同様に演奏して録ったことが吉と出た。今回公開されたオーヴァーダビングなしのアウトテイクを聴くと、「モノウ・ヴァレー・スタジオVer.」よりも精気に溢れており、“オアシスらしさ”がいよいよ確立したのを実感できる。「Rock ‘n’ Roll Star」や「Columbia」「Slide Away」でのリアムのヴォーカルは自信が増したことを感じさせるし、『Definitely Maybe』ヴァージョンよりライヴ感強めに思える「Bring It On Down」の熱い演奏もファンなら思わず身を乗り出すだろう。

ディスク2の最後に置かれた1992年録音のデモ「Sad Song」は、なんとノエルではなくリアムが、若々しく綺麗な声で歌っている。今回お蔵出しされた音源はノエル自身とカラム・マリーニョによってリミックスされているのだが、この曲を締め括りに持ってくるなんて、シンガーへの愛を感じずにいられないではないか。スタジオで本作の作業を進めながら、弟の歌声に向き合い続けるノエルはどんな顔をしていたのだろう……と想像してしまうし、そういう時間を重ねたことがオアシス復活に繋がった可能性は大いにある。


先行公開された「Columbia (Sawmills Outtake)」リリックビデオ


「Sad Song (Mauldeth Road West Demo, Nov' 92)」リリックビデオ

そして『Definitely Maybe』本編を聴いて改めて感じるのは、ニルヴァーナを筆頭とするUSオルタナティヴ・ロックの影だ。最終的にオーウェン・モリスが仕上げた眼前で鳴っているように感じるド派手なサウンドは、オリジナルのミックスとは随分違うとも言われているが。これぐらい極端に針を振り切らないと、グランジ/オルタナを一回通過した大衆の耳にアピールするのは難しかっただろう。「Live Forever」を書いたきっかけがカート・コバーンの死、というエピソードはよく知られているが、単に返歌の対象として見ていたわけではないはず。「Supersonic」や「Bring It On Down」のアレンジに練り込まれた影響の欠片が、30年を経た今は当時よりも浮き上がって見えてくる。

何しろ、良いシンガーがいて、良い曲があった。そこからどうやって違いを見せつけ、印象づけるか。大胆にやり切るか。それをあらゆる面で実践したのが『Definitely Maybe』だったことを、今回の『30周年記念デラックス・エディション』はわかりやすく伝えてくれる。オアシスだって登場と同時に仕上がっていたわけではなくて、最高のデビューを果たすために水面下であがいて努力していたのだ。






『Definitely Maybe(邦題:オアシス)』30周年記念デラックス・エディション
2024年8月30日 リリース

<2CD>
■豪華ハードカヴァー・デジブック×三方背スリーブケース仕様
■日本盤のみの仕様
・高品質Blu-spec CD2仕様
・英文ライナー訳/歌詞・対訳/新規解説 (妹沢奈美) 付
SICX30217-30218 税込¥4,400 【完全生産限定盤】
購入リンク:https://SonyMusicJapan.lnk.to/Oasis_2cd

<4LP>(輸入盤国内仕様)
■日本盤のみの仕様
・英文ライナー訳/歌詞・対訳/新規解説 (妹沢奈美) 付
・日本語帯付き
SIJP185-188 税込¥16,000 【完全生産限定盤】
購入リンク:https://SonyMusicJapan.lnk.to/Oasis_4lp

<デジタル>
配信予約リンク:https://SonyMusicJapan.lnk.to/Oasis_dm30ade


【展示会情報】
リヴ・フォーエヴァー:Oasis 30周年特別展
会期:2024年11月1日(金)~11月23日(土)
会場:六本木ミュージアム
主催:ソニー・ミュージックエンタテインメント、ソニー・ミュージックレーベルズ、ソニー・ミュージックパブリッシング
後援:ブリティッシュ・カウンシル 協賛:ADAM ET ROPÉ
公式サイト:https://oasis-liveforever.jp/
公式X:https://x.com/Oasis30th
公式インスタグラム:https://www.instagram.com/oasis30th/


現時点で最後の来日公演
フジロック'09のセトリプレイリスト
再生:https://OasisJP.lnk.to/FRF09TW


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