元DAY6のeaJが語るK-POP界から世界的スターへの転身、初来日への想い

Photo by Lucas Mumm

 
K-POPシーンから世界へと羽ばたいた韓国系アメリカ人のJae Parkが9月11日(水)、“eaJ(イージュ)”というソロプロジェクトで初の日本公演『eaJ / when the rain stopped following me tour』(東京・duo MUSIC EXCHANGE)を行う。

アルゼンチンで生まれ、カリフォルニア州セリトスで育った彼は、韓国のオーディション番組への参加を機にプロの道へ。韓国のロックバンド・DAY6の一員として知名度を上げたのちに、2020年からeaJ名義で活動を始めている。ジャンルレスかつソリッドな作風は瞬く間に人気を博し、MAX、リッチ・ブライアン、keshi、Seori、DPR LIVEといったそうそうたる顔ぶれとの共演でも注目の的に。さらにワールドツアーでは100を超える公演のチケットがすべてソールドアウトという快挙を成し遂げ、その勢いはとどまるところを知らないといった感じだ。来日直前に実現した今回のオンラインインタビューでは、デビューから現在までの活動を振り返りつつ、自身の思いを率直に語ってくれた。



音楽の出発点とボーカルのルーツ

―韓国の有名なオーディション番組『Kポップスター』(2011年放送)であなたの才能は見出されました。どのような歌手になりたいと思って応募したのでしょうか。

eaJ:実はね、プロの歌手を目指していたわけじゃなかったんだ。子供の頃はすごく現実的だったから、「歌手になりたい」と言うのは「大統領になりたい」と言うのと同じようなものだと考えていたんだよね。ほぼ不可能だと。だから……今こんな状況になって感謝しているよ!

―ではこの番組に参加するきっかけは何だったのですか?

eaJ:以前、YouTubeにカバーソングの動画をアップしていたんだ。ハイスクール時代のガールフレンドに「あなたはK-POPのカバーをやるべきよ」と勧められて。「そうか」と思って始めたんだけど、公開した動画を『Kポップスター』の関係者が見たらしくて、メールが来たんだ。それでショーに出ることになった。

―あなたが応募した訳ではなく、制作サイドから誘いがあったわけですね。

eaJ:そう。「オーディションに参加しませんか?」と声をかけられたんだ。



―韓国の音楽事情については、出演する時点である程度ご存じだったのですか?

eaJ:好きな韓国のアーティストはいくつかあったけど、僕にとって一番のヒーローだったのが、god(ジーオーディー)という男性グループ。本当に大好きなグループで(日本語で)最高です! 『Kポップスター』に参加したおかげで、憧れのgodと同じ所属事務所・JYPエンターテインメント(以下、JYP)に入ることになったというのも面白いよね。



―さらに時間をさかのぼって、幼少期・学生時代について教えてください。アルゼンチンで生まれ、一時的にカナダに移り住み、それからカリフォルニア州セリトスへ。アメリカでの生活が大半だったそうですが、韓国でも何年か暮らしていましたよね。複数の国で暮らした経験はあなたの性格や音楽的な好みに何らかの影響を与えていますか。

eaJ:100%与えているよ! これまでの生活で実感したのは、ある国では「1+1=2」だけど、別の国では「1+1=0」になる場合もあるんだっていうことかな。数学的な意味で言っているわけじゃない。単にロジックとしてね。地域によってあまりにも考え方が異なるから、僕はそういう見方をしたんだ。その違いを知ることが人間としての幅を広げるのに役立つし、自らの音楽をより良いものにしてくれると思うんだ。

―音楽的にも韓国の音楽や洋楽だけでなく、いろいろなジャンルに触れて育ってきたのでしょうか。

eaJ:父親が大の音楽好きで、ラテン音楽を筆頭に様々なジャンルのアナログレコードを持っていたんだ。その影響もあって僕も何となくラテン音楽が好きなんだ。自分で演奏したことはないけれどね(笑)。

―アコースティック系の音楽がお好きなのはその影響かも知れませんね。

eaJ:うん……その通りのような気がするよ。自分では考えたこともなかったけどね(笑)。

―前述のオーディション番組であなたが弾いていたアコースティックギターの音色が素敵だったものですから、「もしかして……」と思って。ところでアマチュア時代はどんな音楽を好み、どんなアーティストに憧れていたのでしょうか?

eaJ:ブライアン・マックナイトは昔から大好きだったね。車の中に置いていた唯一のCDが彼のアルバムだったんだ。母が僕を学校に送り迎えしてくれる時なんかによく聴いていたよ。今思い出すと申し訳ない気もするけどね。だって7歳くらいの子どもが、車に乗っている間ずっと曲に合わせて叫んでいたんだから。今考えるとクレイジーだったよ! あとジョン・メイヤーも大好きなんだ。ジェイソン・ムラーズも。彼らも僕のヒーローだね。ああ……本当に素晴らしいよ。




―あなたのボーカルスタイルはジェイソン・ムラーズと似ているところがあるという声もあります。ご自身としてはどう思いますか? ボーカリストとして影響を受けた人々はいますか。

eaJ:彼の声に似ているなんて言われたら、すぐに自動的に「本当にありがとう!」と答えるね(笑)。他にもブライアン・マックナイトやザ・スクリプト、コールドプレイ、ジョン・メイヤーといったアーティストのテイストを吸収しようとしてきたよ。それらが現在の僕の歌唱にあらわれていると感じる人たちも確かにいて、「ちょっとジェイソン・ムラーズやジョン・メイヤーっぽくない?」なんて言ってもらえるとものすごく嬉しいんだ。

―確かに似ている点はあるとは思いますが、よく伸びる高音にあなたらしさを感じています。

eaJ:ありがとう! そう言ってもらえて嬉しいよ!


Translated by Sachiko Yasue

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