irienchyがツアーファイナルで叫んだ「生きる大切さ」、熱く朗らかなロックスピリット

irienchy(Photo by 伊東実咲)

ライブハウス界隈で着実に支持を拡大している4人組バンドのirienchyが、『1st full album MISFIT リリースツアー〜入江ん家からあなたんち〜』のファイナルとなるワンマン公演を、4月24日(水)に東京・Shibuya eggmanで開催した。自身最大規模のツアーのファイナル公演の様子を現地レポートでお届けする。

平日にもかかわらずたくさんの観客が詰めかけたeggmanのステージに、諒孟(Gu&Cho)、井口裕馬(Ba&Cho)、本多響平(Dr&Cho)の3人が現れ、ファンファーレの如く爽快なオープニングセッションを展開。そのサウンドに乗って登場した宮原颯(Vo&Gu)の「全員をハッピーにして帰ります!」という宣誓が眩しい「スーパーヒーロー」から、勢いよくライブがスタートする。


(Photo by 伊東実咲)



フレンドリーな空気感、誰も置いていかない優しさを湛えたポップな曲、フロアを光のように照らす笑顔など、早くも持ち味を存分に発揮する4人。1stフルアルバム『MISFIT』のリリース翌日(2023年12月7日)に同じくeggmanで行なわれたワンマンでは、興奮や緊張のせいか、宮原が貧血っぽくなる、諒孟が全身を攣るという若干のハプニングもあったけれど、ツアーを重ねてきたこの日の彼らは、ひと回り成長したパワフルで揺るぎないパフォーマンスが際立つ。「恋愛モヤモヤ物語」が織り交ぜられたりと、懐かしのナンバーを含むセットリストも楽しい。

「ここがどこか、俺たちが誰か、教えてください! ここ誰ん家!?」という宮原の呼びかけに、「イリエンチー!!」とオーディエンスが大声で楽しそうに返す。そんな「ライライライ」の滑稽な曲入りさえ、もうだいぶ浸透しているようで嬉しくなる。じわじわとホームの雰囲気を帯びていく場内。“ほらただいまって言わせてよ”の歌詞が、ファイナルの東京によく似合う。

「入江ん家へようこそ。全国9カ所を回ってきたツアーのファイナルです。毎回毎回超えてきたんですけど、今日がもちろんいちばんいいライブになると思うので、最後まで好きなように楽しんでいってください!」

宮原があらためて意気込むと、目の覚めるような「藁人形の館」でギアをもう一段アップ。本多がドラムを叩きつつ軽やかなラップを歌い、井口が切れ味鋭いスラップベースで応酬、諒孟が熱く唸るギターソロを解き放つなど、バンドのロックスピリット、アグレッシブな側面をガツンと打ち出す。


本多響平(Dr&Cho)(Photo by 伊東実咲)


井口裕馬(Ba&Cho)(Photo by 伊東実咲)


諒孟(Gu&Cho)(Photo by 伊東実咲)

心地よい疾走感を纏った「ne?」以降の中盤からは、いよいよアルバム『MISFIT』の収録曲も披露。宮原が「カレーに合うのはりんごとかハチミツとかいろいろあると思うんですけど、いちばん大切なのは誰と食べるかなんですよ。俺は今日あなたとカレーが食べたい!」と訴え、歌いながら唐突にカレールーを配り始めるというサプライズが発動した「カレーなる休日」は、ハイライトのひとつと言っていいほどの盛り上がりに。彼らの愉快な一挙手一投足に、観ている側も自然と笑顔にさせられてしまう。この朗らかさや温かみがirienchyの大きなチャームポイントだ。


宮原颯(Vo&Gu)(Photo by 伊東実咲)

Rolling Stone Japan 編集部

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