ちゃんみな、幸福な場所で終着を迎えた「AREA OF DIAMOND 2」追加公演ファイナル

ちゃんみな(Photo by 田中聖太郎)

ちゃんみなが2024年4月28日、横浜・ぴあアリーナMMにて、単独公演「AREA OF DIAMOND 2」の追加公演を行った。本公演は、2023年12月17日の宮城・仙台GIGSから始まり2024年1月30日に東京・LINE CUBE SHIBUYAで国内ファイナルを迎え、3月には初となるアジア単独公演(韓国・香港・台湾)を成功させたツアーの追加公演として2daysで開催されたもの。本稿では、2daysのうち2日目のオフィシャルレポートを掲載する。

【画像】ちゃんみな、ツアーファイナルの様子(全10枚)

中央にグランドピアノが設置されたステージにまず現れたのは、白いドレス姿の少女。少女は客席に向かって深くお辞儀をし、サン=サーンスの「白鳥」を弾き始める。ツアー本公演ではこの役をちゃんみなが担っており、楽譜通りではない不穏な旋律で緊張感を高める演出がされていたが、今回はそのように不穏な空気はなく、ピアノの発表会そのものといった雰囲気だ。

少女の可憐な演奏が終わると、幻想的な音楽とともにステージがキラキラと照らされ、ピアノ奥のステージ2階に白い貝殻が出現する。すでに少女とピアノはステージから消えている。貝殻がゆっくりと開くと、中から赤いオフショルダーのドレスに身を包んだ赤真珠のようなちゃんみなが現れ、会場は大歓声に包まれた。まるでボッティチェリの名画《ヴィーナスの誕生》のような登場である。ヴィーナスは愛と美と豊穣をもたらす神であり、帆立貝は豊穣の象徴、そしてボッティチェリの同作品は「愛の誕生」を象徴する絵として知られている。ピアノを弾いていた少女が成長し、人々に愛と美と豊穣を届ける「ちゃんみな」というアーティストが生まれた誕生を改めて表現した冒頭演出なのだろうか? その豊穣の海扇の中で歌う「Baby」からライブはスタートした。

続く「RED」でちゃんみなは貝殻を抜け出し、中央にせり出したセンターステージで激しく踊りながら自身のルーツを歌う。ステージには炎が吹き上がり、その熱に呼応するようにオーディエンスは声を上げる。アリーナから4階まで、フロアを色とりどりのペンライトが埋め尽くし、光が波浪のように揺れる。会場はいきなりものすごい熱気だ。その熱気を「I’m a Pop」でさらに盛り上げ、メドレーにアレンジされた「Picky」と「Doctor」では12人のダンサーたちが時に激しく、時にコミカルに踊る。その背後では、内臓を抉るようなグルーヴを奏でるベースとドラム、脳天を突き刺すギター、美しいメロディで心を高揚させるキーボードというおなじみのバンドメンバーが構えている。

「みなさん、ようこそ『AREA OF DIAMOND 2』へお越しくださいました。今日が12月から回ってきたツアーの追加公演最終日。やっとこの日を迎えられることができる喜びと、ついに終わってしまうんだなという寂しい気持ちがあります。楽しんでくださいね。みなさん準備できてますか? わたしも今日は全力で挑んでいきたいと思っているので、みんな、かかってこいよ! それでは、AREA OF DIAMOND 2、スタート!」

そんなちゃんみなの呼びかけに、満員のオーディエンスは大歓声で応える。


ちゃんみな(Photo by 田中聖太郎)

「ルーシー」ではチュチュを着た4人のバレリーナを従えて踊り、「B級」ではMVに登場する“貴族ギャル”でお馴染みの盛り髪とポップでカラフルなミニスカートルックで登場。ダンサーたちと大人気のお尻シェイクでフロアを沸かせる。硬く韻を踏んだ「ピリオド」ではちゃんみなの肖像画が印刷された紙幣(同じデザインのヘアクリップが新グッズとして登場)が何百枚も宙を舞い、「Wake up call」のイントロでは「B級」のMVでお馴染みのクラウチングスタートを披露するなど演出に惜しみがない。

さらに4月26日にリリースされたばかりの新曲「FORGIVE ME」も初披露。事前に発表されていた意味深なタイトルから、いったいどんな曲なんだろうとSNS等で話題になっていたが、「あなたの許しなんかなくても幸せに生きてやる」という前向きな内容で、楽曲的にもドラムンベースがアクセントになったハイパーポップという、これまでのちゃんみなにはない新機軸を打ち出した斬新なものだった。

Rolling Stone Japan 編集部

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