クリープハイプ、あらゆる感情を「歌」にしてきた先駆者のささやかな誇り

クリープハイプ(Photo by Makoto Nakagawa)

3月24日(日)に開催された「ツタロックフェス2024」。クリープハイプのライブレポートをお届けする。

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クリープハイプ、圧巻。ここまでのステージに登場した人たちの、バンドマンとしての苦悩も、ソングライターとしての試行錯誤も、すべてすでに通ってきたかのような歌と演奏が続く。

「残っててくれてありがとう。俺はすぐにイライラして負の感情を人にぶつける。こうやってステージに立って、自分たちを待っててくれた人から歓声が上がるのを聞くと、いい加減、大人にならなきゃなと思うんだけど、結局また次の日から元に戻ってしまう。本当にロクな人間じゃない。だからこそ短い時間だけど、このステージの上ではいい人間でありたい、いい人間でいさせてください。よろしくお願いします」

尾崎世界観(Vo, Gt)は、そんな語りからステージを始めた。そしてスポットライトを浴びる中での「君の部屋」から演奏をスタート。そこから「一生に一度愛してるよ」をかき鳴らし、“死ぬまで一生愛されると思ってたよ”というフレーズで締めると、1stアルバム『死ぬまで一生愛されると思ってたよ』収録の「身も蓋もない水槽」へと続ける。「HE IS MINE」では例のフレーズの大合唱が凄まじいボリュームで響き渡り、コロナが明けてオーディエンスの声が戻ってきたことまで確信させた。そのあとは、長谷川カオナシ(Ba)がメインボーカルをとる「火まつり」。社会から炙り出された孤独も、自分の情けなさを誤魔化そうとする素振りも、愛されたい欲望も、ユーモラスに昇華したエロも、音楽を求めているのに音楽に満たされない苦しさも、世の炎上の滑稽さも、すべてクリープハイプは歌にしてきた。

イントロが鳴った瞬間に大歓声が上がったほどオーディエンスから愛されている「キケンナアソビ」、「栞」を挟み、最後はオレンジ色に染まるステージの中でアコースティックギターをかき鳴らしながら「傷つける」。夕陽が暮れていくようにクリープハイプのライブは終幕へと向かっていった。

尾崎は「知らないバンドが増えたなと思います。どんどん時代は変わっていく。そういう中にまだいられることが嬉しい」「お前のことを知らねえよと思ってる人もいると思う。それはそれでいいことだと思います」とMCでこぼしていたが、今日の出演者のように現在のメインストリームに立っているギターロックバンドの多くが、クリープハイプが切り拓いた表現方法を多少なりとも受け継いでいることは真実だ。



<イベント情報>

Vポイント presents ツタロックフェス2024
公演日:2023年3月23日(土)、24日(日)
会場名:幕張メッセ国際展示場 9・ 10・ 11ホール
主催:CCCミュージックラボ(株)/ライブマスターズ(株)
企画:CCCミュージックラボ(株)
制作:ライブマスターズ(株)
運営:(株)ディスクガレージ
特別協賛:CCCMKホールディングス(株) / 三井住友カード株式会社
問い合わせ: https://cccmusiclab.com/tsutarock2024

<公式SNS>
Twitter:https://twitter.com/tsutarocklive
instagram:https://www.instagram.com/tsuta_rock_live_official/
Facebook:https://www.facebook.com/tsutarocklive/

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