「数字」との向き合い方、未来を担う二人の使命感―imaseさんは「自分の気に入ってる曲」と「伸びる曲」が乖離してる感覚ですか?imase:いえ、わりと気に入ってる曲が伸びやすくて。「NIGHT DANCER」もそうだし、「Nagisa」もそう。みんなから好きって言ってもらう曲と自分の好きな曲が、まだあまり乖離はしてないです。でもいずれ自分の感覚や時代がガラッと変わるような気もしてるから、それが怖いなと思ってます。ブームの移り変わりがめちゃくちゃ早いから、2年後、自分が全く好きじゃないジャンルや系統しかバスらなくなってしまったら怖いなって。もう、バズり続けないと難しい時代なのかなと思うんですよね。Vaundyさんとかずっとバズってるじゃないですか。それが今の時代に合ってるし、正解な気がしていて。どの道、そうしないと2年後くらいにはいなくなっちゃうんだろうなと思ってるから……バズり続けるしかないなって。
―その心持ちはしんどすぎません? 「バズ」とか「数字」と向き合い続ける中で、病むことはないですか?imase:(メンタルの)波はある(笑)。
なとり:ありますよね(笑)。
imase:その日その日によって……。
なとり:マジでわかる。一喜一憂ですよね。
imase:やっぱり? でもしょうがない。
なとり:定めですよね……。
imase:本人たちは数字を気にしちゃいけないのかも。自分で見すぎると苦しくなっちゃうから、僕はもう見ないことにしてます。まあ、たまに情報を得るために見たりはするんですけど。でも1本1本の投稿の数字を気にしすぎるとそればっかり見るようになっちゃって、自分の作業もできなくなっちゃうし。シンプルにいい曲を作るという自分の仕事に徹することにしてます。いい曲は聴かれるから。
なとり:かっけえな!
imase:だってずっと数字見てたら絶対に病むもん! Spotifyの月間リスナーが減っていくのを見るのがマジで怖いって、なとりも言ってたよね(笑)。
なとり:Spotifyの月間リスナーが減っていくのはマジで怖い!
imase:伸びたときは「世界からめっちゃ聴かれてるんだ」って思うけど、数字が悪いときは怖いよ!
なとり:しかも嫌なのが、じわじわ減っていくんですよね(笑)……自分だけは数字が見えないようにしてほしい(笑)。
imase:ある意味コメントとかよりも辛辣ですからね。
なとり:最近は僕も数字を見ないことを意識しているんですけど、何より、好きなことをするのが一番大事かなと思うようになりました。数字の暴力には逆らえないですよね。
imase:一生付き合っていくしかないよね。自分がいいって思う曲が、結局、自分にとってのいい曲だから。
なとり:音楽なんて、結局は自己満ですもんね。最近はそれをめっちゃ意識してます。とにかく、自分が好きだった時代みたいな上質なポップスを作れるようになろうと。
Photo by Kentaro Kambe―アルバム『劇場』のインタビューのときにも、「昔の人たちが作ってきたような上質なポップスをリバイバルさせたい」とおっしゃってましたもんね。なとり:昔聴かれていたような上質のポップスを作ることが、僕ら世代のアーティストの課題じゃないですか? 僕、J-POPの質を若干下げちゃったかなって、結構負い目を感じていて。
imase:え? そんなことないでしょ。
なとり:スピッツとか、aikoさんとか、ああいう曲ってやっぱりすごいじゃないですか。そういう曲が今後ないと、聴く曲が昔のものしかなくなるから、逆に僕が生きていけないなと思って。そこに対して投げかけたいし、新しい時代のポップスを作りたいなと思います。それこそ、そういう曲を作っても海外で聴かれるような時代になってきたから作る理由ができたなとも感じますし、僕らの根幹にあるポップスを継承して海外の人たちに伝えることが役目なんじゃないかなという気がしてますね。チャートを獲ったからこそ、たくさんの重い責任を感じないといけないなとは思ってます。
―imaseさんは今の自分が置かれている立場の使命感や責任感など、何か考えることはありますか。imase:NewJeansとか、JUNGKOOKさんの「Seven」が流行ったりしていて、昔よりは洋楽も聴かれやすくなっているものの、地元の友達に聞くと有名な洋楽アーティストでも「それ誰?」ってなるし、音楽を聴く人と聴かない人のギャップがあるなと思うんですよね。最近は、そこを埋められたらなと強く思っています。自分が海外のトレンドを提示することで、自然と洋楽がもっと受け入れられやすい環境にできたらいいなって。日本にR&Bとかソウルのいい曲っていっぱいあるじゃないですか。そこにもフォーカスする窓口になれたら嬉しいなと思ってますね。
なとり:その考えは「NIGHT DANCER」のグローバルヒットがないと生まれないですよね。
imase:たしかに。最近その考えが強くなりました。そこは本当に頑張りたいです。だからこそ、逆に「ドJ-POP」な曲も作らないといけない気はしていて。聴かれやすいバラードとかロックを作ることも必要だなと思ってます。松原みきさんの「真夜中のドア〜Stay With Me」が海外でリバイバルして聴かれたりするように、昔からいいとされているJ-POPは時代が変わっても掘り出されると思うから、そういう曲を現代で作れたらいいなと思う。だから2024年は、シンプルで普遍的ないいメロディを作りたいなと思ってます。
なとり:今日しゃべって思いましたけど、やっぱり考え方がめっちゃ似てますよね。同じものを抱えているんだろうなと思いました。
imase:それがあって最初に引き寄せられたのかもしれないね。
Photo by Kentaro Kambe
◎imase
最新シングル「恋衣」
配信リンク:
https://imase.lnk.to/koigoromoWEimase Tour 2024 “Shiki”(全公演SOLD OUT)
2024年3月8日(金)愛知県 DIAMOND HALL
2024年3月13日(水)宮城県 Rensa
2024年3月19日(火)北海道 cube garden
2024年3月23日(土)広島県 広島CLUB QUATTRO
2024年3月30日(土)福岡県 DRUM LOGOS
2024年3月31日(日)大阪府 なんばHatch
2024年4月6日(土)東京都 Zepp DiverCity
2024年4月21日(日)岐阜県 岐阜club-G
公式サイト:
https://www.universal-music.co.jp/imase/◎なとり1stアルバム『劇場』
配信・購入:
https://natori.lnk.to/gekijoなとり 1st ONE-MAN LIVE「劇場」
2024年3月29日(金)東京・Zepp Haneda(TOKYO)
2024年4月5日(金)大阪・Zepp Osaka Bayside
『劇場』特設サイト:
https://natori-theater.com