iScreamが語る、歌唱力と表現力で突き抜けた『Selfie』

iScream:左からYUNA、RUI、HINATA(Photo by Mitsuru Nishimura)

Z世代の女性ボーカルグループ、iScream。RUI、YUNA、HINATAの3人が10代最後に開催した1stツアー「iScream LIVE TOUR 2023 “Level 19”」では、ライブハウスの環境を活かしたソリッドなパフォーマンスで、その歌声の「艶」をダイレクトに感じさせてくれた。途中ダンスで魅せるパートもあり、LDHの未来を担う次世代の才能だということもあらためて実感。

【写真を見る】RUI、YUNA、HINATAのソロカット

1月17日にリリースされた 2ndアルバム『Selfie』は、そんな3人の成長と強い想いが随所に表れている。絶品のJ-POPバラード「口約束」、2ステップ味のある「Shiny Shiny」の軽やかな躍動感、 90sR&Bの遺伝子を受け継ぐダイナミックな「Heart of Gold」など、尖りまくって「自由さ」を謳歌するのではなく、王道を貫いて「安心」を感じさせる姿に、iScream の確かな音楽スキルと歌を大切にする気持ちをひしひしと感じたのだった。

1stツアーで得たもの

ー先日(2023年10月30日)の全国ツアーのファイナル公演(東京・渋谷クラブクアトロ)では、会場の一体感や熱気をすごく感じました。これまではコロナ禍の影響が残る中でパフォーマンスしてきたわけですが、ようやくライブらしいライブで初の全国ツアーを締めくくれたのでは?

RUI 今回のツアーは、3人全員が19歳でいられた期間にできて、iScreamになるまでに起こったことも含めて、私たちの「10代」を届けるというテーマがあったんです。だから、それぞれがオーディションで歌った楽曲を披露するソロパートもあったり、iScream をデビュー前から知っていてくれた方にも「おぉ~」って言っていただけるようなサプライズ演出ができたことがうれしかったです。涙してくださったお客さんもいらっしゃって、終わってからの感想を見ても「ソロのパートが一番印象的だった」って声も多くて私も初心に戻れたなって思います。ファイナル公演も含め、ファンの皆さんと一緒になって私たちも表現できたツアーでした。



HINATA 10代の大事な時期に iScreamが結成されて、そこでファンの皆さんに出会えたことが私たちにとって大きなことだったので、それをライブでも表現したいという気持ちがありました。10 代最後に残せる私たちの歌とパワーを、今回の “Level 19”では表現できたかなって思います。普通のライブというよりもパーティのような雰囲気のライブで、私たちにしか表現できないクリエイティブを存分に詰め込みました。「こんな風にしたいな、あんな風にしたいな」という、頭の中のアイデアを具体的にしていく作業が楽しかったですし、ライブを作り上げるってこういうことなんだって、今回の1stツアーを通して初めて感じられたかなと思います。

YUNA 前回のライブまでは、まだ声を出せない環境だったので、どうしたら皆さんに楽しんでもらえるかはもちろん考えながらも、妥協せざるを得ない部分もたくさんありました。なので今回は自分たちがやりたいことをどうしたら具現化できるのかという部分と、どうすれば皆さんに楽しんでいただけるかという部分、どちらもミックスできたなと感じています。自分たちの楽曲に対しての考え方の幅も広がりました。

ー「Maybe...YES」がしっとりしたアレンジで新鮮でした。

RUI デビュー曲ということもありますし、3 人でソロ曲を歌ってからの「Maybe…YES」だったので、踊って盛り上げるというよりはじっくり浸れるコーナーにしたかったんです。キーとなる楽曲だからこそ丁寧に、みんなで帰ってこられるようなアットホームな場所をつくりたいなという想いでこのバージョンを作らせていただきました。

ーまた、東京以外の会場もバンドのライブでもよく使われるようなハコだったじゃないですか。ボトムライン(愛知)、ドラムロゴス(福岡)、梅田クラブクアトロ(大阪)。お客さんとの距離も近いし、そういう点でも特別なフィーリングを体験できたんじゃないのかなと思いますが、どうですか?

RUI 今回はステージ上にスクリーンがなかったので、映像に頼らずステージ上の私たちだけで、音楽を表現しないといけないというところが一番難しかったです。でもやっぱりライブハウスならではの音の良さでしたり、皆さん一人ひとりの目をちゃんと見てお届けできたことは大事な経験になったなと思います。

ー先行で配信された、2ndアルバム『Selfie』にも収録されている「Pom Pom Pop」も、ライブハウスで一体感が出るタイプの曲ですよね。

HINATA iScreamのグッズでタオルはこれまでもあったのですが、それを活かして楽しむ楽曲がなかったので、どうしてもそれをつくりたかったんです。ファンの皆さんもタオルを回したり声を出したりすることで一緒に楽しめて一体感が生まれると思ったんです。とてもキャッチーな楽曲なので、初めて聴く方もすぐ感覚をつかんで、初日の名古屋でもすごく楽しんでくださっていたと思います。その姿を見て安心しましたし、今後のiScreamのライブには欠かせない一曲になるのかなと思います。



ーオーディエンスを煽るスキルも身についたんじゃないですか?

YUNA まだまだですが、私たちは先輩のライブを観せていただく機会も多かったので、そういう経験も活きているかなと思います。

ー「盛り上がっていきましょう」だけじゃなくて……。

YUNA 「一つになっていきましょう」とか、いろいろ引き出しが増えました(笑)。

ーiScreamの2023年を振り返ると、Girls²とのコラボシングル(「Rock Steady」「The Finest」)がありましたよね。このプロジェクトを通して何か気づきはありましたか?

RUI この1年は、iScreamを客観的に見れた1年かなと個人的には思ってます。デビューして間もない一昨年から去年は、「つつみ込むように…」のカバー曲をはじめ、いろんな楽曲やアルバムをリリースさせていただきながら突っ走ってきた1年だったので、2023年はコラボなどを通してiScreamを客観的に見れたなと感じています。コラボした時は、3人それぞれの個性が消えずに成り立っていたことに誇りを持てましたし、iScreamの強みも知ることができました。一方でコラボを通して初めて出会う方もとても多かったので、iScreamを知らない方もまだまだたくさんいるんだということも知ることができました。だからもっともっと輪を広げていかないとなということも同時に思えた1年でした。





HINATA ガールズパワーをたくさん感じた一年でした。私たちは3人という小人数で普段活動している分、8人加わって11人になると、いつもとは歌もダンスも全然違う感覚でパフォーマンスしている自分に驚きましたが、とても楽しかったですし、同世代の女の子たちで届けるパワーには大きなものがあるなと感じられました。「Rock Steady」と「The Finest」というコラボ曲で、iScreamとして普段は見せてない部分を見せることができました。私たちには歌のイメージが強くあると思いますが、ダンスもできるぞというところを見せるのが目標でもあったので、私たちを初めて見た方にも、私たちをいつも応援してくださっている方にもそこを褒めていただいたことがうれしかったです。11人での活動がiScreamにも今後また違う形で活きてくればいいなと思います。それこそ“Level 19”のライブにも、「Girls²とのコラボレーションで知りました」と言って来てくださった方がいて、目に見えてiScreamが、少しずつですけど広がっていることを感じているので、それをもっと大きくしていきたいなという気持ちが強くなりました。

YUNA 私は、iScreamの新しい可能性を感じられた期間だったなと思います。今まで3人で活動してきて、それが心地よかったんですけど、他に全然やり方が違う子たちが集まって一緒にやると、こんなにも変わるんだということを知ることができました。「私たちこんな曲も歌える!」という自信がついて、すごくうれしかったです。

ーその2曲も収録されていますし、コラボレーションやライブをはじめ、iScreamがこの一年やってきたことがフィードバックされた 2ndアルバムになりましたね。

RUI 今までiScreamは、1stアルバムの『i』をはじめ、「アイサケ/愛(私)を叫ぶ」という由来があるように、「愛を知って、その愛を歌っていく」というテーマの楽曲が多かったんです。1stアルバムで“愛を知る”というエピソードがあったからこそ、今回はその愛をセルフラブとして捉えて、自己肯定感を上げて新しい道に進んでいくことを表現したかったので、いま自分たちがやりたい楽曲や、今の私たちが自信を持って届けられる、悔いのない楽曲たちを詰め込みました。新曲はいろんな雰囲気の楽曲があるのですが、どれも伝えたいメッセージは「自分をもっと信じて大丈夫」ということなんです。



ーいろんなスタイルの楽曲だからこそ、ボーカルのアプローチもこれまでより幅広いですよね。その点は大変でしたか?

HINATA 2ndアルバムを作らせていただくことが決まってから、どんな楽曲を入れたいかを自分たちでもリストアップして、「こういう雰囲気の楽曲を歌ってみたいよね」という話し合いを何度も重ねました。だからこそレコーディングも3人とも同じ気持ちで臨むことができましたし、楽曲のバランスもぴったり合っていると思います。今までの iScream よりも大人の階段を一歩上った楽曲が多いと思いますが、大人っぽさはありつつも、等身大の私たちの内面を描いています。そういうところがiScreamらしいですし、楽曲と一緒に私たちも成長していると思います。

YUNA 私もこのアルバムに悔いはないです。10代最後ということもあって3人とも気合が入っていたので、さっきHINATAが言ったように、話し合いでどういう作品を作りたいのかを惜しみなく伝えて、それをスタッフの皆さんが受け取って解釈してくれました。iScreamの3人で話して仕上げていった楽曲もありますし、愛着のあるアルバムになったなと思います。このようなアルバムを10代最後に出せて本当にうれしいです。

ーお馴染みのZEROさんをはじめ、作詞・作曲をされた方たちとやりとりはありましたか?

YUNA ありました。例えば「セルフラブの中でも自分の何にフォーカスしているか」ですとか、「10代を振り返りながらも未来を見ている楽曲にしたい」「自分に自信があって、自分だけにフォーカスした楽曲にしたい」などと伝えたりしました。そういうところも今までは意見を出したことがなかったのですが、作詞家さんにもたくさんアイデアをいただいたので、すごくうれしかったです。

ーサウンドの話もしました?

YUNA 「こういう雰囲気の楽曲が欲しいです」というオーダーをさせていただいてたり、いくつかデモ曲を聴かせていただいて3人で選んだりもしました。「Like A Flower」は作詞家の麦野優衣さんもレコーディングに来てくださって、普段とは違うディレクションをしていただいたので、さらに引き出しが増えたと思います。このアルバムの収録曲は『Selfie』というタイトルをもとに枝分かれさせてつくった楽曲たちなので、音から歌詞から雰囲気から全部私たちが関わって、私たち自身が「これで出したい」と思えるものを詰め込みました。



Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE