アンディ・テイラーが語るデュラン・デュラン復帰の可能性、がん闘病からのカムバック

 
デュラン・デュラン復帰の可能性

―話題を変えます。数日前にデュラン・デュランが、あなたのようながん患者のために開いたチャリティーコンサートは感動的でした。

アンディ:俺がデュラン・デュランのニューアルバム向けの作業を終えた頃、サイモンが電話してきた。「治療費はどうしている」と聞くから、俺は「問題ない。もう支払ったよ」と答えた。するとサイモンは「まだこの先何年もかかるだろう。俺は君を支援したいんだ」と言ってくれた。

彼は数少ない信頼の置ける友人で、本物のジェントルマンだ。そして本当に良識のある人間でもある。彼の家族も素晴らしい。彼の妻ヤスも子どもたちも、本当にいい人たちだ。サイモンは「チャリティー団体と共同でコンサートを開催すれば、もっともっとお金を集められる」と言った。

クリス・エヴァンズ卿が立ち上げたチャリティー団体「Cancer Awareness Trust」との共同イベントだった。俺のようながん患者のためにデュラン・デュランとチャリティー団体が協力してくれたことで、世の中の状況が大きく変わった。まずは、ひとつの山を越えた俺が、病気について語る場を提供してくれた。俺は情報を伝えていきたいと思っている。ほとんど注目されていない男性特有の病気治療に対して、経済的な支援が可能な富裕層は多い。男性は自身の病気について話したがらない。大人になっても「EDや夜尿症の経験はあるか?」などと話し合ったりはしない。その点、女性の方が自分たちの体についてとてもオープンに語り合う。男はね……。



―デュラン・デュランのニューアルバムについての話が出ましたが、あなたはどのように参加されたのでしょうか? (編注:デュラン・デュランは最新アルバム『Danse Macabre』を10月27日リリース予定)

アンディ:何曲かでギターを弾いた。結局、自分が関わった2枚のアルバムが同時期にリリースされることになったな。デュラン・デュランのメンバーをリスペクトして、彼らのアルバムについては喋りすぎないようにするよ。俺は2023年の4月にレコーディングしたが、とてもいい曲に仕上がった。


デュラン・デュラン最新作の先行シングル「BLACK MOONLIGHT」にアンディ・テイラーとナイル・ロジャースが参加

―デュラン・デュランと一緒にステージへカムバックしてくれることを、多くのファンが望んでいます。期待してもよいでしょうか?

アンディ:彼ら次第かな。今ここで、はっきりとノーとは言えない。でも自分の方から「やらないか」と言える状況にはない。もしも彼らが望めば、こちらとしてはいつでも受け入れる準備はできている。実際のところ、声をかけられるのを待っているのさ。

―なるほど、そうですよね。

アンディ:特に彼らと具体的に話してはいない。時折メンバーと会ったりするが、そんな話は出ないね。でも個人的な意見としては、43年が経って、デュラン・デュランの第3の波のようなものが来ていると感じる。

他にも、既に完了したり現在進行中の仕事もいくつかある。俺としては、(一緒にライブを)やるべきだと思うよ。まずは、ロックの殿堂でデュラン・デュランに投票してくれた素晴らしいファンに、恩返しする義務がある。

『Rio』をステージで全曲演奏したらクールだろうな、と常々考えている。素晴らしくユニークで特別なステージになると思う。売り込みたいからアルバムを作った訳ではない。純粋にファンのために、何か恩返しをしなければならないんだ。決して、スタジアム規模で多くの観衆を集める類のものである必要はない。

―バンドとの関係が修復されて良かったと思います。最後にバンドを離れた時、私は何か敵意のようなものを感じました。

アンディ:敵意というか、個人的な感情ではなく、あくまでもプロとしての方向性の行き違いだった。もちろん、バンドとして活動していると、個人的な感情と仕事上の方向性が入り混じってしまうこともある。

正直に打ち明けると、俺はバンドのルールに縛られるのが嫌なんだ。なぜなら俺はバンドを離れて、プロジェクトに関して何でも自分で決めて実現することに慣れてしまったからね。例えば誰かに「アンディ、一緒にやらないか?」と誘われても、「バンドとなると、中国とかどこかにプロモーションツアーに出かけなければならないし、俺にはできない」と断るだろう。

子や孫ができて、彼らを人生の最優先事項にする生き方もあるだろう。でも俺は、他のことを優先させ続けることができなかった。ジャスティン・ティンバーレイクやティンバランドと組んで、新たな作品を作る話とは次元が違う。正直に言うと、俺としては、ジャスティン・ティンバーレイクとの共作は望んでいなかった。彼が問題だと言っているのではなく、あくまで俺の問題だ。

バンドが方針を変えて新しい人間を取り込もうとするなら、俺は付いていけない。俺一人でも多くのタスクをこなせるのに、わざわざ気に入らない10人の人間と同じ部屋に籠もって作業するのは無理だった。多くのことが同時進行しているので、自分の頭はほんの少し使うだけで済んでしまう。

しかし、もしも他人の介入を断って俺たち5人だけだったなら、『Reportage』の完成へ向けてプロジェクトを進めていただろう。「ここでは俺たちだけで何でも決められる。もし気に入らない点があれば、俺に言ってくれ。俺も気になった点は指摘するから。そして、気に入ったら褒めてくれ。もちろん俺もそうする」という感じでできたはずだ。もしも俺たちが当時の状況に戻れるなら、『Reportage』だってすぐに完成できるだろう。



―将来的なソロコンサートの開催は考えていますか?

アンディ:そうだな。とりあえず今年はずっと治療が続くから、来年を見据えている。でも、復帰して最初のコンサートは9月30日と決めている。場所は明かせないけれど、その週末あたりにごく短時間の小規模のステージで試してみようと計画している。マイルストーンを設定し、準備とリハーサルを開始して、仕上げていこうと思う。

―これまでのあらゆる経験を通じて、人生の一日一日に感謝できるようになったと思いますか?

アンディ:人生のリセットボタンを押して「自分の得意なことはわかった。もっとできることは何だろう」と、自分を客観的に見られるようになった。そういうことを学んだのさ。また、家族と一緒に辛い時期を乗り越えたら、家族にとって理想的な人間でありたいと思っている。

―最後になりますが、近い将来にあなたがデュラン・デュランの一員としてツアーのステージに立てることを、真に願っています。私にとってデュラン・デュランは5人組のバンドであり、あなた抜きではあり得ません。

アンディ:可能性は十分にある。彼らは俺の回復を手助けしてくれたし、俺の活動の場も……。

―彼らのステージということでしょうか?

アンディ:否定はしない。さっきも言ったように、俺としてはいつでも準備ができている。でも彼らの側でも話し合って、環境を整えてもらう必要がある。俺たちは皆、素晴らしいファンと共に素晴らしい経験をしてきた。それこそが俺の人生の原動力になっている。

周りの人間からは「(実現するのに)何も問題はないはずだろう」と言われる。「俺の方は、何も問題ない。皆が同じひとつの目標に向かって進めばいい。俺たちが目指すべきは、自分たちにはこれほど素晴らしいファンがいるんだ、と証明することだろう」と俺は言っている。またマディソン・スクエア・ガーデンのステージに必ず立ちたい。

From Rolling Stone US.




アンディ・テイラー
『Man's A Wolf To Man』
発売中
再生・購入:https://andytaylor.lnk.to/MAWTM


デュラン・デュラン
『Danse Macabre』
2023年10月27日リリース
プレオーダー:https://duranduran.lnk.to/DanseMacabreAlbumPR

Translated by Smokva Tokyo

 
 
 
 

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