性犯罪者エプスタイン被告の自殺を招いた「重大な過失」とは? 米

またDOJの報告書には、MCCのデジタルビデオレコーダーが7月29日に故障したため、限られた監視カメラしか作動していなかったとある。だが、カメラの映像のライブ映像は依然送信されていたため、監視は可能なはずだった。刑務所がようやくカメラを修理したのはエプスタイン被告の死後だった。とはいえDOJの監視官は、8月9日の夜10時40分から8月10日の午前6時30分まで監房を出入りした者はいなかった、と結論づけている。

被告の死を招いた組織的過失を詳しく記載した箇所によると、MCCが8月9日、エプスタイン被告に同房者をつけるよう命じた精神鑑定課の指示に従っていなかったことが分かった。傍受のない通話や受刑者点呼の怠慢も規則違反だった。その後DOJは、BOPの記録改ざん容疑でトーマス氏と看守のトーヴァ・ノエル氏を起訴したが、トーマス氏とノエル氏が「訴追延期合意」に応じたため、起訴は取り下げられた。

またインターネット上の憶測とは裏腹に、報告書はエプスタイン氏の死因が自殺だと強調している。DOJによると、「事情聴取したMCCニューヨークの職員は誰1人、エプスタイン被告の死因が自殺以外であると示唆する情報を入手していなかった」そうだ。「加えて、事情聴取したMCCニューヨークの受刑者も誰1人、自殺以外の死因を示唆するような信用できる情報を持っていなかった。さらに、エプスタイン被告が収監されていた監房の入口が直接視界に入っていたSHU職員と3人の受刑囚にも聴取を行ったが、事件当夜の8月9日、SHU職員がエプスタイン被告を監房に戻した後に出入りした者は1人もいなかったと供述した」。

報告書はBOP職員が再三にわたって当局のポリシーを違反していたと非難し、「DOJとBOPが率先して、職員の定期採用、監視、安全管理、その他BOPに蔓延する問題に取り組む必要性」を強調している。DOJはBOPに8つの勧告を出したが、それに対してBOPは別紙で、「新たなコアバリューとして、責任追及、誠意、敬意、思いやり、更正活動の向上を盛りこむ」としている。これに対してDOJは、それぞれの勧告が解決されたと判断した。

6月上旬、JPモーガンはエプスタイン被告の被害者が起こした集団訴訟で和解した。和解金は、今年ドイツ銀行が被害者に支払った和解金750万ドルを上回るとみられている。ごく最近では、エプスタイン被告が死の直前に、やはり性犯罪者のスポーツ医師ラリー・ナサール被告に連絡を取ろうとしていたことも報じられた。被告の手紙は差出人に返送され、MCCの郵便室の床に残されていた。手紙の内容は公表されていない。

自殺を考えている方、または知人が自殺を考えている方は、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)にお電話ください。

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from Rolling Stone US

Akiko Kato

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