「ツタロック DIG LIVE vol.11 -OSAKA-」大阪で2度目の開催、9組のバンドが魅せた熱気と矜持


CAT ATE HOTDOGS

本編トップバッターは関西発の4人組バンド・CAT ATE HOTDOGS。結成翌年に十代才能発掘プロジェクト『十代白書』の2019年度グランプリを受賞した実力派で、今年5月に結成5周年を迎えたばかり。現在ギターのおざきが療養中のため3ピースで活動を行なっている。SEなしの板付で登場した、ひこ(Vo.&Gt.)、ハナッペ(Ba.)、みや(Dr.)。ひこが軽くギターを奏で「魔法をかけて」でライブスタート。ポップなメロディーと跳ねるビートにひこの荒々しい歌声が重なる。楽曲はキャッチーだが、力強く野性的な演奏でフロアを釘付けにする。続く「intro / 7th wonder!!」でも、ひこは内に秘めた情熱を放出するように血管を浮かせて歌唱する。MCでは「出させていただいて光栄です!」とひこが感謝を述べて「俺がバカなんですけど、昨日突然湧き上がるエネルギーで“明日ツタロックや”、“台風に負けるかー”思て、台風の中を原チャで走り狂ってしまい、大コケしまして。ほら、これ痛そう」と肘に貼った絆創膏を見せて驚かせつつ「皆元気そうで良かった」と場を和ませ、まさにそのエネルギーをぶつけるように「ヤドカリ」を骨太サウンドで響かせる。さらにビートが加速した「intro / Q&A」、めまぐるしい展開の「熱」で世界観を作り上げる。ハナッペが「お昼にライブハウスに来てるぜ、ということをやれてる嬉しさを感じています。今日1日メインディッシュ食いまくりで楽しんでいただければと思います」と述べると、ひこが「張り切って! 元気いっぱいいってみよう!」と叫び、「カラッポ。」「群青」でラストスパート。生命力溢れるパワフルサウンドで疾走した。シンプルな編成ながら火を吹くようなステージで会場の熱量を引き上げた。


サバシスター

続いてBIGCAT初ライブのサバシスター。るみなす(Gt.&Cho.)、ごうけ(Dr.&Cho.)、サポートのサトウコウヘイ(Ba.)、なち(Vo.&Gt.)の順で元気に登場し、「スケボー泥棒!」「ヘイまま!プリーズコールミー」を軽快に飛ばしてゴキゲンな空間に。MCではやはり台風の話題に。なちが「昨日大阪に向かってたんですけど、朝10時に出たはずなのに夜中0時に着くっていうね。川を走ってるんじゃないかってぐらい水の中をかき分けてここまでやってまいりました。会えて良かったです」と話す。「しげちゃん」、「アイリー」を連投するとフロアはクラップの嵐に。しかしまだ足りないといった様子でなちが「大阪こんなもんだったっけ?と思ってます。皆さん声聞かせてください」と煽ると「ジャージ」「ナイスなガール」でぐんと熱が上昇、会場中にグルーヴが巻き起こった。そして「皆さんも学校行ったり仕事行ったり、心を削られながら毎日頑張ってると思うんですけど、そんな日々があってここに音楽の力を感じに集まってくれたと思います。私も同じです。バンドやってたって楽しいことばかりじゃないし、辛いこともあります。皆と音楽でひとつになれて嬉しいです」と語る。その後の「タイムセール逃してくれ」の終盤、なちが感極まったのか歌えなくなってしまう場面も。何度も腕で涙を拭いながら「大阪また必ず戻ってきます!」と力強く叫び、最後に「サバシスター’s THEME」を演奏。後方まで埋め尽くされた観客は呼応してしっかり手をあげる。大きな会場が似合うことを証明したサバシスター。今後の躍進が楽しみだ。


Hello Hello

奈良発の3ピースバンド・Hello Helloは、ストレートな想いをぶつけてフロアとの距離を近づけた。SEが流れ、ヤナギ(Vo.&Gt.)、ともひろ(Ba.)、たくみ(Dr.)が登場。「最後までよろしくお願いします!」とヤナギが挨拶し、「THINK」からライブをスタート。Aメロは低音ボーカルを響かせていたが、サビで一転、超絶ハイトーンボイスに。特徴的なボーカルに驚かされる。続いて高音ボイスがメインの「Hello!!!」、疾走感の中にまろやかさも感じさせた「youth」を披露して会場を盛り上げる。MCではヤナギがBIGCATに立つことは目標のひとつだったと話し、「僕はあまり強くない人間です。だからこいつら(ともひろ、たくみ)に支えてもらって、くじけそうになった時は目を合わせてここまでやってきました」と吐露。ヤナギが話す間、優しい眼差しで彼を見つめていたともひろとたくみ。ライブ中の空気感からもメンバー同士の絆が感じられた。「ずっと強い人間になりたい、ならなあかんと思ってきたけど、この間強いと思ってた友達が苦しそうな顔をしてた。お前もそんな顔するねんなと思ってちょっと安心した。強い人なんか多分この世に1人もいーひん。それは悪いことじゃない。昔俺が凹んでた時に助けてくれたあの人も、君とて、弱い部分があったんやなと思い返す。自分の弱さを受け止めて俺は生きていくし、今日それを1番に伝えたいです。弱くても大丈夫やから一緒に歩いていこう!」と叫び、弾き語りから「君と手」を熱くプレイ。「Stay with Me」を経て、「リリィ」では柔らかなギターロックサウンドを響かせた。「本当に楽しかった、皆にありがとうを言いたかった」と短いMCを挟み、高い熱量を帯びたままでラストの「花火」まで駆け抜けた。何度も手を振り、名残惜しそうにステージを後にした3人だった。

Rolling Stone Japan 編集部

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