ペイル・ファウンテンズ、シャック、そして新たな黄金期 マイケル・ヘッドが語る音楽遍歴

60代を迎えた「今」の充実ぶり

─ここ20年ほどのあなたのレコード棚はどんな感じでしょう? 新たに発見したものや、年をとってから好きになったレコードはありますか?

MH:ジャズやクラシックを聴く量が増えたかな。アストラッド・ジルベルト、ジョン・コルトレーン…ドビュッシーもずっと好きだよ。

─Spotifyであなたのプレイリストを見たら、ウェット・レッグやフォンテインズD.C.など、若いバンドも結構聴いてるんですね。

MH:うん、いつも。新しいバンドは、レッド・エラスティック・バンドの若いメンバーたちが教えてくれるんだ。地元のリヴァプールにも良いバンドは多いよ。




─レッド・エラスティック・バンドのライブでは、若いメンバーが大活躍していますね。彼らのような若いミュージシャンとは、どのようにして出会い、交流しているのでしょうか?

MH:ベースのトム・パウエルは、ストランズのアルバムに参加してくれたプロデューサーの息子で、10歳か11歳ぐらいの頃から知っていた。そしてトムの紹介で、ピーチ・ファズというバンドにいたギタリストのナット・ローレンス、ドラマーのフィル・マーフィーが入ってきたんだ。

─最新作『Dear Scott』は、元コーラルのビル・ライダー・ジョーンズがプロデューサーとして素晴らしい仕事をしましたね。彼とのレコーディングはどうでした?

MH:気心が知れているから、アルバムを作るのが実際のところ楽だった。ビルは素晴らしいスタジオを持っているし、人柄もいいからやりやすいよ。才能溢れるミュージシャンだしね。




Photo by Shiho Sasaki

─新作が好評なので次のアルバムも期待されていると思いますが、それはまだ先でしょうか? 小説を書くプランもあるそうですが。

MH:実はもう半分ぐらい録ってあるんだ。多分、来年の前半にはリリースできるんじゃないかな。小説も書きたいと思っていて、考えてはいるよ。

─マネージャーをしている娘さんや仲間たちと、家族のような感じでツアーできる今の活動は理想的な状態だと思います。こういう良い活動ペースをつかむまで長い時間がかかったのでは? 若い頃はツアーの繰り返しで疲弊することもあったと思いますが。

MH:幸い僕は昔から良い環境、良いレーベルに恵まれているし、グッド・チームが組めている。確かに、忙しくなり過ぎて疲弊した時期もあったけどね。今はスタッフと話しながらやるべきことをやれているし、自分に合ったペースで活動できているよ。


来日公演ではマイケル・ヘッドの娘と妹もステージに登場し、歌声を披露した(Photo by Shiho Sasaki)

─今までいくつものバンドを率いて活動してきたわけですけど、音楽家としてのキャリアで最も誇りに思っていることは?

MH:今、この活動に誇りを持っている。驚くことに、今日ここ日本にいられることもね(笑)。『Dear Scott』と同様に、前作も良い作品が作れたと思っているし。僕を支えてくれる周りのスタッフにも感謝している。この年齢になっても、こうして現役で活動を続けられていることを誇りに思うよ。

【写真を見る】マイケル・ヘッド来日撮り下ろし(全24点)


Photo by Shiho Sasaki

Translated by Keiko Yuyama

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