SUGAが語る、Agust Dを通して見た「心の旅」、坂本龍一との対面

SUGA独占インタビュー

アルバムリリースとツアーに先駆けてローリングストーン誌の取材に応じたSUGAは、IUやJ-HOPEとのコラボレーションについて、音楽哲学について、そしてAgust D名義で今後も活動するのかどうかについて語ってくれた。

ードキュメンタリー『Road to D-DAY』の中で、「アルバム制作中、Agust D名義での最後のアルバムにするかどうか迷った」と言っていましたね。確認ですが、『D-DAY』はAgust D最後のアルバムではないということですか?

その通りです。アルバムを買っていただいて、ライナーノーツの「thanks to」セクションを見ていただければ(質問の答えが)わかると思います。最後だと言うと、本当にこれで終わりにしなくてはならなくなります。引退するといっては何度も復活するミュージシャンが大勢いますが――僕は絶対そんな風にしたくありません。三部作の最終章ですが、Agust D最後のアルバムではありません。

Agust Dとして僕が伝えるべきストーリーは、SUGAとして伝えるストーリーよりも重いでしょう? 今回のアルバムには全身全霊を注いだので、そこまで重いストーリーをこの先も語り続けられるほどエネルギーが残っているかわかりません。でも数カ月後にはまたAgust Dとして伝えたいストーリーが出てくるかもしれませんし、ユンキとして、あるいはSUGAとしてリリースするかもしれません。将来の可能性は誰にもわかりません。

なので、これがAgust D最後のアルバムだとは言い切れません。次のアルバムは来年かもしれないし、10年、あるいは死ぬ直前かもしれません。ひょっとしたら、会社の方でこれが最後のアルバムになると言ったんでしょうか? だとしても、僕はここで終わるつもりはありません。バットマンでも『ダークナイト』三部作がありましたが、その後も(新しい映画で)バットマンは復活しました。そういう感じです。

ーIUとは「People Pt. 2」で再びタッグを組んでいますね。前回は2020年にリリースされた彼女のシングル「Eight」で、プロデューサー兼ゲストとして参加していました。共演者として彼女のどんなところがすごいと思いますか? 2人の共通点はなんでしょう?

マーケティング的な視点で言えば、僕がこの曲をAgust D名義でリリースする理由はひとつもありませんでしたから、SUGAとAgust D(のイメージ)を上手く同調させる必要がありました。ですが、僕はAgust Dという人物を通じてミン・ユンギとしての自分の物語を語ってきたので、(SUGAとしてのブランドと)合致させなくてはなりませんでした。今回はどちらのアーティストを合致させるべきか、かなり悩みました。

BTSのメンバーを加えても良かったかもしれません。実際デモでは、Jung Kookがガイドとして声を吹き込んでくれました。でもJung Kookと共演するにしても、「ああ、またBTSっぽい曲だ!」という印象は与えたくなかったんです。それでフィーチャリングするアーティストを探しました。(IUとは)すでに「Eight」で共演していましたし、息も合っていました。僕らの息が合っていたおかげで、あの曲は多くの人から愛されました。それに彼女とは仲がいいんです。前々から友達で、年齢も同じなので、僕の曲に参加してくれないかと頼みました。彼女も多忙な人なので引き受けてもらえないんじゃないかと心配でしたが、ありがたいことに2つ返事で引き受けてくれました。「People Pt. 2」の出来には大満足です。



ーJ-Hopeをフィーチャリングした「HUH?」では、ヴァースを書いてもらう上で何か指示は出しましたか?

音楽を始めて17~18年になりますが、他の人と組む時には絶対プレッシャーをかけないようにしています。あの曲のジャンルはドリルで、イジョン(HYBEのソングライター兼プロデューサーEL CAPITXN)と一緒に作りました。すごく難しいビートです。J-Hopeにも(ヴァースを書くのが)大変だと言われましたが、僕は「好きなようにやっていいよ。代わりに僕が全部後でまとめるから!」と言いました。

PSYと共演した時も、「Eight」の時も、CMソングを作るときも似たような感じです。他のアーティストの音楽をプロデュースする時には、「どんな風にしたいですか? どんな曲にしたいですか? どんな曲を書けばいいですか?」と尋ねるようにしています。誰かに曲を書いてもらう時にも、同じように「好きなようにやってください」とか「好きなように書いてください」と伝えます。J-Hopeのヴァースを最初に聞いた時は、そのまま採用したくなりました。「ワオ、言いたいことがしっかり表現できてるね、上手くいった!」と言って、編集なしでそのまま採用しました。



ー他のBTSメンバーにアルバムを聞かせましたか? 何か感想はありましたか?

他のメンバーはあまり感想を言ってくれないんです。言ってはくれるんですが、Disney+でドキュメンタリー映画が配信されるのにちなんで言うと、みんなの意見はディズニーっぽいんです。どれも前向きな意見で、「ワオ、このアルバムやばいね!」という感じです。客観的意見なのか確信が持てないので、外部からの意見に耳を傾けるようにしています。メンバーはいつも最高だと言ってくれるんですけどね。出来が良くないものを聞かせても、みんな出来が悪いとは言わないでしょう(笑)。でも、みんなにはいつも感謝しています。みんなのおかげで、やる気と勇気が湧いてきます。

Translated by Akiko Kato

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